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NEO(地球近傍小惑星)から地球、人類を守る方法はあるのか?今回は欧州連合(EU)が資金援助している「NEOシールド」という団体がまとめた隕石の落下を防ぐいくつかの方法について紹介します。

今月、ロシアに推定1万トンという隕石が落下し、広い範囲に被害を与えました。奇跡的に死亡者は出なかったものの、同様の隕石が落下し人的被害がでてもおかしくないというこは今回のケースで明らかになりあました。

ロシアで隕石の落下が確認された3日後、欧州連合(EU)が資金援助するコンソーシアム「NEOシールド」はウィーンで会議を開き、隕石の落下を防ぐ方法について概要をまとめました。具体的どのような案が出たのか紹介していきます。

ロイター通信によると、会議で最も現実的な方法として上げられたのは、巨大宇宙船を隕石に衝突させて軌道を変えるか、巨大宇宙船を接近させて引力を利用して軌道を変えるというものです。

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重力牽引宇宙船(NASA)

一般的に考えられる『核ミサイルで隕石を破壊する』という方法も一案とされたものの、これは「最後の手段」と定義されたといいます。核ミサイルの使用についてロシアのドミトリー・ロゴジン第1副首相も「核利用は一見、最も現実的のようだが、まだハードルが高く、ロシアにも米国にも現時点では隕石を撃ち落とす能力はない」とか語っています。

また、2009年12月30日ロシア宇宙庁のアナトーリ・ペルミノフが国営ラジオで「衝突回避システムの構築に多額の費用がかかるとしても、衝突が起きるまで何もせずに大勢の死者を出すよりはずっとましだ」とし、「2036年のアポフィス地球衝突を防ぐ手段を協議するため、専門の科学者を集めた委員会を非公開で行う」と述べています。ペルミノフ長官はこの時、衝突回避策として核兵器を使用しない軌道をそらす目的に特化した案で対策を行うとしています。

費用対効果

隕石落下に備え核ミサイルなり巨大宇宙船を打ち上げるなどシステムの構築には莫大な費用がかかるんですが、これについてロシアでは数百億ドル(数兆円)の費用がかかると試算されています。そのため、人類史を見ても滅多に発生しない隕石落下による被害について、多額の費用を当てて構築するという案そのものについて疑問の声があるのも事実です。

米ハワイ大学の天文学者チームは、地球に落下する恐れのある隕石の『早期発見』を目的に小型望遠鏡ATLASを使ったシステムを開発を行なっています。これは小惑星を破壊したり逸らすというものではなく、45m以上の小惑星を早期に発見し、すくなくとも1週間前に警報を出すというものです。
この案について研究チームのジョン・トンリー氏は「(1週間は)地域住民の避難や建物などインフラの保護には十分な時間だ」と述べています。

地球近傍小惑星

太陽系には地球に比較的近づく小惑星、『地球近傍小惑星』が存在しています。これまでNASAはこれまで確認された地球に接近する8500個の天体について軌道の計算を終えており、少なくとも今後100年間は地球に衝突する恐れはないとしています。

NASAが考えた宇宙船

Cradle

重力による牽引、また何らかの物体を用いて小惑星を逸らすというもの意外に、それでも核兵器を使用し小惑星を破壊しようという案は存在しています。NASAのマーシャル宇宙飛行センターでは、広島型原爆の160倍の威力がある1.2MT B83(水爆)を6発搭載搭載した無人宇宙船『Cradle』が開発されているといいます。

参考: MSN産経ニュース