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米上院議員のブログによると、小惑星を捕獲し、地球・月系のラグランジュ2まで持ち帰り、そこへ人を送り込む計画を明らかにし、NASAはこの計画を実行すべく1億ドルの予算を要求しているとのことです。

アメリカ航空宇宙局(NASA)は、地球近傍小惑星を捕獲し地球の近くまで移動するという計画を実施するため2014年度の予算として約1億ドルを要求しているとのことです。Space Newsによれば、この約1億ドルのうち2000万ドルが小惑星の発見に、4000万ドルが捕獲用の宇宙機の研究に、そして4500万ドルがその宇宙機に使用する電気推進エンジンの研究に振り分けられると報じています。

米民主党の上院議員ビル・ネルソン氏のブログによると、小惑星を捕獲し、地球・月系のラグランジュ2まで持ち帰り、そこへ人を送り込む計画が実際にあると書き込んでおり、「これはより広い計画に向けた一歩に過ぎません。この計画は、小惑星の採掘、小惑星の地球衝突に備えた進路をそらす手法の確立、そして火星への有人飛行に向けた基盤造りをも兼ね備えています」と主張しています。

小惑星捕獲計画

ケック宇宙研究所は今から1年程前に地球近傍小惑星(NEO, Near Earth Object)を捕獲し、地球の近くまで持ち帰ってくるといったアイディアを提案しています。この提案について航空・宇宙専門誌によると、NASAが真剣に検討していることが明らかになっています。

具体的な計画内容は、持ち帰るのに最適な小惑星を見つけ、電気推進を使う無人の宇宙機を飛ばして捕獲。2010年代のうちに地球・月系にある重力平衡点の一つ、地球から見て月の裏側に位置するラグランジュ2へと持ち帰る。その後、NASAが現在開発中の大型ロケット、スペース・ローンチ・システム(SLS)とオリオン有人宇宙船を使い、早ければ2021年にもこの小惑星へ人を送り込む…というものです。

ラグランジュ2
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ラグランジュ2とは地球から見て月の裏側にあたる天体間の重力が釣り合うポイント。そこに位置する物体は小さなエネルギーで軌道を維持することが出来る。2012年には国際宇宙ステーション(ISS)の運用終了後の、次世代宇宙ステーション計画の候補位置となっており、将来の月や火星への有人深宇宙探査のための前哨基地として利用される、としている。
アメリカにおけるコンステレーション計画の中止を発表した際、オバマ大統領は「地球近辺にある小惑星への有人飛行任務を2020年代半ばまでに実現すること、火星の軌道周回飛行を2030年代半ばまでに実行し、その後すぐに火星への有人着陸を実現する」と新たな宇宙政策を発表しています。

このことについてsorae.jpでは「この小惑星捕獲計画が本当に実現したならば、オバマ大統領の宇宙政策を実現させ、また小惑星探査を支持する人、地球・月系のラグランジュ2への飛行を支持する人の双方の要求を満たすことができる」とし、「そして何かにつけて非難されることの多いSLSとオリオンも無駄にはならず、さらには将来の人類の本格的な宇宙進出に向けた確かな布石にもなる」と述べています。



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画像:1977年にNASAが制作した小惑星から資源を採掘する計画

米民間企業の小惑星捕獲計画

アメリカの民間宇宙関連会社DSi社(Deep Space Industries)は、小惑星の資源を使用し宇宙開発に必要な機器や燃料を宇宙で製造するという未来的な構想を発表しています。

HARVESTOR
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ファルコン9やファルコンヘビーなどで打ち上げ可能な「HARVESTOR」。小惑星を地球へ移動する輸送船。

参考:sorae.jp