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非現実世界でヤルかヤラれるかの戦闘を繰り返すゲーマー。米大学の研究によると、これら死闘を繰り返すゲーマーは一般人よりも視覚から得た情報を早く、またはうまく処理できることが分かりました。

ノースカロライナ州にあるデューク大学医学部のグレッグ・アップルバウム助教授らの研究チームは、ハードコアなゲーマーは、ゲームをしない人(ノンゲーマー)と比べて「世界を違うように見ている」という研究が発表しました。

研究は被験者として熱心なゲーマーとノンゲーマーの計125人を対象に点滅表示される文字をどれだけうまく認識できるかというテストを行いました。結果、視覚記憶保持の面ではゲーマーとノンゲーマーの能力は同様であることが分かった一方で、ゲーマーのほうが視覚情報を速く感知できる、あるいは利用できるわずかな視覚情報からうまく推測が行えるという可能性があることが分かったと言います。

FPSゲームの例:Battlefield 4: Official 17 Minutes "Fishing in Baku" Gameplay Reveal


このようなFPSゲームやアクションゲームを行うことで視覚関連が鍛えられるという研究結果が報告されており、2010年9月14日付けの『Current Biology』には『アクション・ゲームのプレイヤーたちは、正確さを失うことなく、より迅速な決断を下すための根拠となるさまざまな視覚的・聴覚的な兆候を検出する領域において鍛えられている』という論文が掲載されています。またこのような能力は非現実世界ではなく、現実世界のゲームとは無関係な作業でも適用されることが明らかになっています。

ゲーマーの驚くべき能力

ゲーマーに関する研究は実はいくつもありゲーマーは一般人とは異なる特殊な能力をもっているという論文が発表されています。

2010年6月、エセックス大学が行ったプロゲーマーとプロスポーツ選手の精神と肉体を比較する研究では、サイバーアスリート(FPSやレース、格闘ゲームなどをプレイしている人)の精神的特性や頭脳の明晰さはプロスポーツ選手に匹敵し、視覚的刺激への反応速度は戦闘機パイロットに近い速さだったと研究結果を発表しています。

2012年11月、テキサス大学医学部の研究によるとゲーマーが長時間ジョイスティック(操縦桿)を操ってゲームをすることで培われる手と目の連係スキルは世界最先端のロボット手術ツールを使いこなすのに必要な能力と同じであることが分かったとしています。
これはテキサス大学医学部(UTMB)の研修医らがロボット手術のシミュレーションテストで米国の高校生および大学生と対決するというテストです。ここで「針を通す」「器具を持ち上げる」など手術に必要な20種類の動作について評価を行ったところ、高校生・大学生ゲーマーの技術レベルはUTMBの研修医たちと同レベルで場合により上回る項目もあったとされています。

また一般的なゲーマーよりも優れたゲーマー、つまり高スコアを叩きだすゲーマーは生まれつき脳の一部が大きいことが分かっており、これにより一般的なゲーマーがいくら訓練した所で優れたゲーマーを超すことは難しいとされています。