耐性菌

複数の薬剤に対して耐性を獲得した細菌、多剤耐性菌。香港紙によると、欧州人に比べ中国人の腸内細菌には薬に耐性を持つ菌が多く存在していると報じています。

香港の英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、中国人の腸内の細菌には欧州人と比較して薬に耐性を持つはるかに多くの遺伝子が存在していると報じています。

この報道について中国科学院微生物研究所の朱宝利(ジュウ・バオリー)研究員は「欧州に比べると、中国の医者はより多くの抗生物質を使用したり処方する傾向が強い。さらに深刻な問題は、中国では魚類の養殖やブタや牛などの家畜に対し大量の抗生物質が使用されていることだ」 と述べています。

家畜に対して使用される抗生物質についてはこれまでも問題視されています。また一方で、鶏の発病率が20年前と比べてはるかに高くなった」と中国の畜産業者は述べており、感染病で死亡する家畜を防ぐため大量の抗生物質が必要だともしています。

また抗生物質は病原菌を死滅させるだけではなく、家畜の体重を増やすために抗生物質が有効であることが分かっています。つまり、経済的利益を最大化するため、一部の畜産農家の間では抗生物質の投与が常態化しているといいます。

医療と抗生物質

中国では医療における抗生物質の過剰使用が疑われています。これは業界内の暗黙の了解とされ、多くの医者が利益を追究し不必要と知りながら処方しています。中国衛生部によると、国内で使用・販売量が最も多い薬品15種類のうち、10種類を抗生物質が占めており、2010年に行った調査によると患者が支出する医療費の実に約50%が抗生物質に関連しているとしています。

中国で使用される抗生物質は2007年で18万トン。これは医療・農業用を含んだ数値になり、国民ひとりあたりの量は平均138gと実にアメリカ人の10倍に相当します。
中国では毎年約20万人が薬物に対する有害反応で死亡しており、内4割が抗生物質の乱用が原因である中華医学会行為医学分会が発表しています。

参考:Record China