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糖質を摂取すると血糖値が上昇。この高血糖状態が結果的に2型糖尿病となる…という知識は私達素人でも持っているのですが、ではもっと医学的に、なぜ高血糖が2型糖尿病を引き起こすのか、何が原因でそれを引き起こしているのか海外の大学が新しい発見をしたと報じられています。

オックスフォード大学の研究者チームは高血糖がどのように2型糖尿病を引き起こすのかという謎について研究を行い、結果としてグルコース代謝物が血糖値を下げるインスリンを分泌する膵臓のベータ細胞に損傷を与え2型糖尿病の進行につながる可能性があることを発見しました。

Altered glycolysis triggers impaired mitochondrial metabolism and mTORC1 activation in diabetic β-cells | Nature Communications
https://www.nature.com/articles/s41467-022-34095-x
Oxford scientists discover key cause of type 2 diabetes
https://newatlas.com/health-wellbeing/cause-type-2-diabetes-glucose-metabolism-oxford-nature/

以下の内容は要約したもので正しい内容は論文もしくは掲載した記事を直接閲覧してほしいのですが、2型糖尿病は食生活の乱れや運動不足が主な原因であることは既に研究者の間では以前から知られていました。特に慢性的な糖分(要するに甘いお菓子やご飯などの炭水化物)の摂取は、血糖値を下げるホルモンとして知られるインスリンを分泌する体の能力にダメージを与え2型糖尿病を引き起こすのだろうということもわかっていました。

しかし、慢性的な高血糖(血糖値が常に高い状態)がインスリンを分泌する(膵臓の)β細胞にどのようなダメージを与えるのかについてはこれまではっきりと分かっていなかったといいます。オックスフォード大学のエリザベス・ヘイソーン氏によると「私たちはブドウ糖がどのようにしてβ細胞の機能を損傷するのかを理解することが必要であると考えました」と説明しています。

研究者らは動物実験および培養細胞による研究でインスリンを産生するβ細胞の機能を低下させているのはグルコース(ブドウ糖とも呼ばれ、果汁や樹液などに多く含まれている物質、血液を通じて脳や体を動かすエネルギー源)そのものではなく、グルコースを代謝する過程で生じる生成物に理由があることを突き止めました。
研究チームはこのプロセスを引き起こす特定のグルコース代謝物が何であるかはまだ突き止められていません。しかしグルコースの代謝を阻害することで血糖値が高い状態でもインスリン産生を維持できることを明確に示しているとのこと。

具体的にグルコキナーゼと呼ばれる酵素を阻害することでグルコース代謝のプロセスを阻害した場合、実際に動物におけるインスリン分泌が改善されることを明らかにしているとのこと。この研究に携わった別の研究者はこの発見はこれまで2型糖尿病治療のために試行されてきたこととは正反対であると述べています。「通常、グルコース代謝はインスリン分泌を促進しており、これまではグルコース代謝を増加させれば糖尿病治療のインスリン分泌が促進されるという仮説が立てられ、グルコキナーゼ活性化剤が試用されていたものの結果は様々でした」とのこと。

またこの研究者によると「発見された知見はまだ非常に予備的なものでありこの種の治療アプローチが臨床的に使用されるようになるにはもっと多くの研究が必要です。しかし、この画期的な発見は2型糖尿病の新しい治療法の開発について私たちの考えを大きく変えるものになっています」と指摘しています。

*抄訳したものを掲載しています。医学的な内容につきましては必ず医師の説明を受けてください。