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ブラジルのサンカルロス連邦大学の研究者らによると、過保護な父親(言い換えれば、精神を害する言動をする親)に育てられた子供は12~22%ほど80歳前に死亡する率が高くなる傾向があることがわかったとNatureに論文が掲載されました。

これは2007年から2018年の間に死亡した941人の参加者 (女性445人、男性496人) のデータの分析を含む調査結果によるものです。この研究に関する Scientific Reports誌に掲載されており、著者はブラジルのサン カルロス連邦大学 (UFSCar) および英国のユニバーシティ カレッジ ロンドン (UCL) の研究者となっています。

Gender differences in the association between adverse events in childhood or adolescence and the risk of premature mortality | Scientific Reports
https://www.nature.com/articles/s41598-022-23443-y

Children of Overprotective Parents Tend to Live Less - Neuroscience News
https://neurosciencenews.com/overprotective-parents-child-longevity-22453/

まず、研究サンプルに含まれる参加者つまり941人は1950年代~1960年代に生まれた人たちで「調査されたのはあくまで今の高齢者であり今世代が同じ結果になるとは限らない」指摘しています。

研究では家族構成、住宅、世帯主の職業、感染症の存在、幼少期と思春期の両親との関係、特にケアと保護など、生活の多くの側面に関するアンケートと参加者の回答を分析したとしています。

結果、あくまでこれら調査の範囲におけるものとして『過保護な父親』を持つ男性(男の子)は80歳になる前に死亡するリスクが12%高く、女性(女の子)は80歳に達する前に死亡する可能性が22%も高くなっていたというものです。一方で片親で育てられた男性の80歳未満の死亡リスクは、2人の親で育てられた男性よりも179%も高かったとしています。

研究者によると「私たちの研究で最も興味深いのは子育てについて長年議論されてきたことを数字で示すことができたことです」「幼少期の父親と母親との思いやりと愛情のある関係はその後の人生に影響を与えます」としており、親の子供の接し方が寿命をも左右させる可能性を示したものとなりました。

「子どもが自律的になるのを妨げる介入性と、過失または感情的な距離の両方を回避する中道が最善です。この記事で私たちが『ケア』と呼んでいるのは、子供を無視するのではなく過度に保護することなく注意を払うことです」と指摘しています。

「子供たちは親の世話と支援を必要としていますが、子供の自律性を奪う介入は必要ありません。心理学の研究によると子供は親を恐れているためこの種の関係も弱く、不健康な習慣を含むさまざまな問題につながることが示されている」とのこと。「いくつかの研究ではアルコールや薬物乱用、精神的健康のリスクが高まることが示されており、ストレスなどは結果として寿命の短縮と密接に関連しています」とカネラダ氏は述べています。

一方で母親によく世話された女性のリスクが低いのは幼少期のストレスレベルが低いことに関連している可能性が考えられ、研究の結果によると母親のケアだけが重要であり、父親は関係は重要とは見なされなかったとのこと。

この研究では親の不在、さらに否定的な親関係が長寿に与える影響に関して性別の違いを明らかにしています。過保護な親は男の子よりも女の子の寿命に影響を与え、母親の存在は女の子の寿命にのみプラスの影響を与えていました。

女性は明らかに否定的な感情を内在化する可能性が高く結果的に『精神障害』に苦しむことが多いのに対し、男性はアルコールや薬物乱用の影響を受けやすいことで結果的に寿命に悪影響を与えている可能性があり「いずれにせよ両方の要因が寿命と密接に相関しています」と指摘しています。