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インターネットの普及、スマホの普及、そして昨今のリモートワーク。もちろんオフィスでも一日の大半を座りっぱなしという方も多くいらっしゃると思います。気になるのは健康への影響ですが、最近30分程度の軽い運動でもこれらを解消できる可能性があるという論文が発表されています。

サンディエゴ州立大学やボストン大学医学部、レスター大学の糖尿病や慢性疾患など複数の研究者からなる研究チームは加速度計で測定された身体活動と座りがちな時間における死亡率の因果関係を調べた研究を発表しました。

Scientists Figured Out How Much Exercise You Need to 'Offset' a Day of Sitting
Joint associations of accelero-meter measured physical activity and sedentary time with all-cause mortality: a harmonised meta-analysis in more than 44 000 middle-aged and older individuals | British Journal of Sports Medicine

対象となったのは4か国からの44,370人の男女69.7%の女性、平均年齢65.8歳、SD 8.6歳)を4年から最大で14.5年間追跡されその間に3451人の参加者が死亡した(死亡率7.8%)。中程度から激しい強度の身体活動(MVPA)と座りがちな時間のさまざまな組み合わせの間の関連を分析しました。

結果、1人あたりの平均的な座りがちな生活に費やされた1日あたりの平均時間は8.5時間から10.5時間で中程度から激しい運動が行われたのは8分/日から35分/日の範囲でした。最も身体活動が多い人と最も座りがちな時間が多かった人をそれぞれ比較した場合、死亡のリスクはの中程度から激しい強度の身体活動が高い人のほうが低く、座りがちな時間が長いほど増加する傾向が明らかになりました。
中程度から激しい強度の身体活動を行う人の間の死亡のリスクは統計的に差はなかったとしています。

つまり、加速度計で測定した座りがちな時間が長い人、つまり日々の活動性の低い個人の死亡率が高くなることは分かったものの、1日あたり約30〜40分程度の中程度から激しい強度の身体活動を行うだけで、座りがちな時間が多い人であっても死亡のリスクとの関連が僅差だということが分かったとのこと。

ここでいう健康へのリスクについては心血管疾患による死亡率との関連性をさしており、従来のように本人からの自己申告つまり一日にどれだけ運動したかという曖昧なものではなく加速度計を用いたものから導き出されている研究です。

ちなみに中程度の運動とはサイクリングなど一般的に運動とされるもの以外でも、日常的に行う歩行を速歩きにしたり庭掃除やガーデニング、家事など集中的に活動を行うだけでも死亡のリスクは大きく軽減されるとしています。