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アルコールを摂取した場合、体内で吸収され血液に取り込まれ肝臓により分解されます。この間、血液中には吸収されたアルコールが残り続けることになるのですが、このアルコール濃度を安価かつ迅速に排出することができる方法を発見したと報じられています。

オンタリオ州トロントにある公立の研究および教育病院ネットワーク『University Health Network』の研究者が発表した論文によると、血液のアルコールが肺から呼吸により排出されることに注目し、呼吸法により迅速に血液からアルコールを抜くことができるということが分かったとしています。

Canadian discovery: a potential game-changer to reverse alcohol intoxication

UNNの記事によると、「重度アルコール中毒における救済療法のゲームチェンジャーになる可能性のある簡単な方法」と説明しており、その方法は非常に単純で過呼吸をするというものです。この過呼吸をすることで一般的に肝臓でのみ分解される血中アルコール濃度の時間よりも3倍も早く排出することができたとしています。この呼吸による血中アルコールの濃度を下げるという方法は世界で初めて確認された科学的実証だと主張しています。

当然、私達が過呼吸を続けるとご存知の方も多いように体調が悪くなり、ふらつきや場合によっては気絶することもあります。つまり私達が日常でアルコールを抜くために行う方法としては用いるものではなく大変危険なので注意が必要です。

研究者らは研究にあたって正確な量の二酸化炭素を体内に戻し、血中の正常なレベルに保つことができる装置を使用しています。この装置は小さなブリーフケースのサイズでに収めることができバルブや接続チューブ、マスク、圧縮二酸化炭素を含む小さなタンクで構成されており持ち歩き可能でローテクでローコスト、世界中どこでも生産、使用可能でかつコンピュータや電子機器も全く必要ないとしています。 

この研究では5人の被験者が参加し血中アルコールの排出時間などを測定した結果明らかになったものだといいます。

現在急性アルコール中毒の治療については専用の薬はありません。例えば病院に行ったとしても軽症や中等症ではアルコールを抜くというものではなく脱水症状を抑える為の点滴が行われるだけで、肝臓での分解を待つ治療が行われる程度です。更に命に関わるような状況では血液透析を行い血中アルコール濃度を下げる方法も行われます。(参考)
つまり今回の方法は病院に運ばれるような比較的命に関わるようなレベルの急性アルコール患者に対しても有効な治療方法になると考えられます。