浮遊惑星

恒星を公転せずただ宇宙を浮遊している浮遊惑星。そんな不思議な天体が地球から80光年先で発見されました。

「こんなふうに宇宙を自由に漂っているものは初めて見た」と、天文学者も興奮を隠せない天体が発見されました。この天体は『PSO J318.5-22』と名付けられ、その後の調査で恒星を公転していない宇宙空間をひたすら孤独に浮遊するという珍しい天体であることがわかりました。

天体を発見したハワイ大学マノア校天文研究所のマイケル・リュー氏によると、誕生してわずか1200万年(地球は46億年)と考えられており、「他の恒星の周囲を回っている若い惑星とまったく同じ性質を備えているが、この星は軌道をそれてひとり漂っている」と話していいます。

浮遊惑星_1

研究チームの観測によると、この惑星の質量は木星の6倍で、もともとは褐色矮星と呼ばれる天体を探していて見つかったといいます。
補足:褐色矮星
木星の13倍以上質量があり、重水素で核融合を発生させている天体。分類上は恒星にも惑星にも入らない。
共同研究を行ったマックス・プランク天文学研究所(ドイツ)のニール・ディーコン氏によると、「通常、直接撮像で発見された惑星の観測は非常に難しい。それは、はるかに明るい主星のすぐ近くにいるからだ。しかし、PSO J318.5-22は観測の妨げとなる恒星を公転していないため、研究ははるかに容易だろう」と述べています。 

浮遊惑星

孤児惑星、ホームレス惑星、自由浮遊惑星、放浪惑星など様々な名前で呼ばれているのは、地球や火星のように恒星を公転していない宇宙空間を漂う惑星です。

2012年2月、Monthly Notices of the Royal Astronomical Society誌に掲載された研究論文によると、天の川銀河系の中だけで浮遊惑星が2000~4000億個存在すると予想がされています。これは数は銀系系内の恒星の10万倍で、天体の一部は別の恒星やブラックホールの軌道に捕捉されている可能性の高いとしています。

また天の川銀河に存在する恒星系の約3~6%が浮遊惑星を捕捉していると考えられており、地球と太陽の1万倍ほどの距離を楕円軌道で公転していると考えられているそうです。

太陽系も浮遊惑星を捕捉している?

2011年2月、天文学者はルイジアナ大学のJohn MateseとDaniel Whitmireらは「Tyche」という未知の惑星が地球と太陽の距離の15,000倍程度離れたところを回っている可能性があると指摘しています。この謎の天体はTycheは他の系で生まれて我々の太陽系に取り込まれたという説、つまり浮遊惑星説と考えられており、惑星のサイズは木星の4倍程度、環や衛星もあるとされています。

太陽系の浮遊惑星
▲TycheのサイズとTycheの公転距離の目安