熱電変換素子

熱エネルギーを直接、電気エネルギーを変換するという熱電変換がありますが、これについて最新の研究によるとこれまで10%程度だった変換効率が理論上40%まで引き上げることが可能という論文が発表されています。

熱電変換素子は金属版に生じる高温と冷温の温度差を利用して電気を発生させる。「金属板の熱い方の側の電子は拡散(evaporated)し、冷たい側では動きは縮小(condense)する」とこの論文のリードオーサーとなるMax Planck Institute for Solid State ResearchとJochen Mannhartはこの原理について述べる。2枚のプレートの間で生じるこの荷電差により「機械的な動作を伴うことなしに」電圧が発生するのである。

従来型の熱電変換発電のモデルでは、「space-charge problem」という問題が起きることで熱電変換に非効率性が生じることが判っていた。これは、電子の拡散が生じる際に、電子同士が衝突を起こすことにより相互に無効化を起こすというものとなる。Max Planckの研究チームは、電子フィールドを使うことにより荷電粒子をプレートの熱い方から引き寄せて、プレートの冷たい方へと誘導することに成功した。

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火力や原子力、未来の発電技術である核融合発電であっても、結局は水を沸かし、蒸気でタービンを回すということで発電を行っています。ここでの熱電変換素子とは熱を直接電気に変換できる熱電発電を行う際に必要なものです。

今回の論文は「space-charge problem」という問題から従来10%程度だった発電効率が新しい原理を応用すれば理論上40%まで引き上げられるというものです。

研究者は「5年後に、変換効率が40%の商用熱電変換発電装置が市場で発表れる可能性は低いかもしれませんが、この分野において貪欲な製品開発を行う企業が現れた場合には、そうした商用熱電変換発電装置が発売される可能性はあるかもしれません。」と述べています。

熱電発電は身近な存在ではありませんが、宇宙ではあの有名なキュリオシティボイジャーが放射性物質の崩壊熱を利用し熱電発電から搭載機器を稼働させています。

熱電発電の優れている点は、小型でも大型設備と同じ変換効率が得られる点、小型で軽量、振動せず長寿命で高温や雪といった低温などありとあらゆる熱から電気を取り出すことができます。