DRC

米国の国防高等研究計画局が開催した「DARPA Robotics Challenge Trials(DRC)」について、日本のチームが予選を1位通過したことは皆さんもご存知かと思います。今回は実際はどのような競技だったのか10時間あまりの映像を紹介します。

人間が現場に立ち入ることが不可能な災害や事故が発生した場合、そこで活躍するのはロボットです。米国防総省の機関である国防高等研究計画局、通称DARPAはこのような現場でも使用できるロボットを競う、DARPA Robotics Challenge Trials(DRC)を企画、開催しました。

この競技では各チームが製作したロボット、もしくはボストン・ダイナミクス社製ロボットを使用し、8つの作業を1つのロボットでこなすという、これまでにない難易度の高い作業を行わなければなりません。

8つの作業では、何れも人間が使うよう設計された車やバルブ、作業道具を使用しなくてはならず、また30分以内にクリアしなければならないという時間制限が設けられています。 
  1. 実用車を運転し、下車する
  2. 起伏の激しい地形を歩く 
  3. 通路にある障害物を取り除く 
  4. 一連のドアを開ける 
  5. 業務用はしごを昇る 
  6. 壁を打ち破る 
  7. 消火ホースを運び、つなげる 
  8. 漏れているバルブを見つけて閉める 
こちらが8つの作業内容です。中にはドアを開ける、階段を登るなど簡単にも思える内容が含まれますが、ロボットにしてみては非常に複雑で難しく、有名大学や機関のロボットでもクリアできないという結果になりました。



それぞれの競技では内容に応じて4点が割り振られ、トータル32点満点で競われました。その中で27点(うち4つの作業は完璧にこなした)を獲得したのは東京大学発のベンチャー企業である「SCHAFT」チームです。大会に参加したチームはマサチューセッツ工科大学こともMIT(16点)カーネギーメロン大学(18点)、そして0点という“よく分からない何か”に終わったNASAも含まれており、参加した16チーム中9チームが10点も獲得できなかった結果になりました。(0点は3チーム)


今回、この非常に長い動画をところどころ見て思ったのは、意外とロボットの動きがゆっくりしており「正直、がっかりした」というのが正直な感想です。
特に、階段を登るという作業では立ち止まり5分、10分考え込んだあと、何故か左斜45度で登り出すロボが現れるなど(映像では9時間44分あたり)、と「今の技術力はこの程度なんだな」という現実をつきつけられた感じがしました。



その一方で、「SCHAFT」チームのロボットはスイスイと階段を登っていったりと、結果的に日本のチームが1位で通過したというのは、原発事故を抱えているという点でも本当にと良い結果だっと思います。

何れにせよ、人間が立ち入ることが出来ないエリアではロボットに作業を頼むしか無く、その上でDARPAによるロボット競技は人類の科学技術を一歩前進させたことには間違いありません。