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中国貴州省平塘県で2007年から建設されていた電波望遠鏡が先日完成したと報じられています。サイズは直径500mで球面電波望遠鏡としては世界最大となっています。

中国メディア光明日報は2014年1月2日、5年間もの歳月をかけ世界最大の電波望遠鏡『500メートル球面電波望遠鏡』(FAST、Five hundred meter Aperture Spherical Telescope)が完成したと報じています。この望遠鏡は中国の科学者が1995年に提唱した構想が実現したもので、カルスト窪地を利用し電波望遠鏡が設置されました。

選ばれたのは地域は中国南部、貴州省黔南ミャオ族自治州平塘県。建設プロジェクトは国からの認可を獲得した2007年から始まり、中国9大科学技術インフラ設備の一つとして国を挙げて建設が進められたとのことです。

▼完成した500メートル球面電波望遠鏡
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中国科学院国家天文台のプロジェクト担当者の1人であるである平塘県副県長の高竜氏にはこの電波望遠鏡について3の特徴を挙げています。
  1. 世界で初めて自然の地形を利用して建設する巨大望遠鏡。
  2. 能動反射面技術を採用し、反射面全体が4600枚以上の動く等辺球面三角形で構成される。
  3. 軽量引綱フィードサポート技術を採用し、1万トン級のプラットフォームを数十トンに軽減し、ミリメートル級の動的測位精度を実現。
(1)についてはアメリカにある同様の電波望遠鏡アレシボ天文台があるので世界初ではないものの、単体による電波望遠鏡としては世界最大であることは間違いありません。

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望遠鏡は三角形のパネル4,600枚と受信機で構成されており、観測周波数は0.3-5.1GHz、固定式であるため天頂から40度の範囲を観測可能で、受信機が球面体であるため、全体の500mのうち300mを使用した広い範囲の観測が可能となりました。

同天文台は今後約3年程の調整期間を経て2016年9月末に正式稼働を目指すとしています。

参考:Record China