裏返った火星の石

NASAの研究者を悩ませているのは今月で火星着陸から10年を迎えてしまう火星探査車「オポチュニティ」が撮影した写真です。実はそこには12日前にまでにはなかった石が映し出されていたのです。

「Pinnacle Island」(尖った島)と名付けられたこちらの石。どこにでもあるような石なんですが、NASAの職員を悩ませているといいます。この石はミッションの3528ソル目(ソルは火星での1日)に撮影された時には存在せず、続く3540ソル目で撮影されたときに突如現れたものになります。

オポチュニティの主任科学者であるコーネル大学のスティーヴ・スクワイヤーズ氏は石の出現に「われわれは本当に驚いた」と述べており、同じく研究していた職員についても「『ちょっと待て。あれは前はなかったぞ。そんなのあり得ない。なんてことだ! 前はあそこになかったのに!』という感じだった」と話しています。

▼火星探査車オポチュニティー
火星探査車オポチュニティ

研究者によるとこの石が出現した理由として2つ考えられるとして、1つは隕石の衝突でどこからか飛んできたもの、そしてオポチュニティの車輪が石を前方に弾いたというものです。

当然火星には人はおらず、火星で稼働中の機械は火星探査車のオポチュニティとキュリオシティのみ。研究者は「近くに煙の出ている穴も開いていないようなので、クレーターから飛び出してきたものではないと思う。われわれが、つまり探査機が飛ばしたものではないだろうか」と予想しています。

火星は極めて動きのない場所だと考えられており、この裏返った石ころは実に何十億年も火星の大気に触れていない状態だったと予想されています。そのため、「どうぞ調査してくださいという状態になっている」とし、研究者は「まさに思いがけない幸運だ」と興奮を隠し切れない様子です。

参考: WIRED.jp