カリフォルニアの山火事

毎年、夏になると大規模な山火事が発生することがありますが、山火事後の森林再生計画について人が手を加えるという方法が必ずしも最適とはいえないそうです。

 2013年夏、アメリカのカリフォルニア州で歴史的な規模の山火事が発生した。アメリカ農務省森林局の環境影響評価を来月初旬に控えて、森林の再生計画や今後の対策について熱い議論が交わされている。



 カリフォルニア州シエラネバダ保全局(Sierra Nevada Conservancy)の事務局長ジム・ブラナム(Jim Branham)氏は、「(カリフォルニア州発生したで歴史的な規模の山火事)大変な惨状には違いないが、燃え尽きた土地の再生に向けて、新しいアプローチを採用する大きなチャンスでもある」と語る。

「1980年代にも大きな山火事を経験した地域だ。25年前の方策を繰り返すのでは意味がない」。当時、山火事の跡地を再生しようと大規模な植林が実施されたが、大部分はリムファイア(今回の山火事)に飲み込まれてしまい、かえって火力増強につながった面も否定できないという。

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カリフォルニアの山火事_1

2013年に発生した違法な火の使用による大規模山火事では実に155平方kmが焼けるという大変なことになってしまったのですが、自然保護団体によると種によっては返って山火事があることが有利に働くとしています。

例えば山火事で木が枯れた場合、この木を求め虫が集まり、虫の幼虫を餌とするという絶滅危惧種のキツツキの一種「セグロミユビゲラ」やその他の鳥類は劇的に個体数を増やしているという調査結果が報告されているそうです。そのため、自然保護団体は繁殖のため、一部エリアを焼け落ちたそのままの姿で残すよう交渉を続けているといいます。

セグロミユビゲラ
セグロミユビゲラ

また、燃え尽きた木を業者が運び出すサルベージ・ロギングにも問題があるとし、「たちの悪い業者は生きている木まで切り倒し持ち去ることがあり、返って森林の再生力を損なわせる」という主張もしています。

カリフォルニア州シエラネバダ保全局の事務局長ジム・ブラナム氏は「今回は政府機関に頼らず、科学者や自然保護団体、さらには一般市民の声も聞いて、革新的な再生計画の策定に努めている」と述べており、「どうやら一部の焼け跡は自然に任せる選択がベストなようだ」と考えを示しているといいます。