無人輸送船

低コストで大量の物資を輸送できる海運は国際間貿易における物流に無くてはならない重要な輸送手段なのですが、この海運について無人の輸送船を使用しさらにコストを下げようとする計画がロールス・ロイスにより行われています。

海外から入ってくる農作物や化石燃料、輸出される車や家電のそのほとんどは海運によって行われています。この海運について北欧ノルウェーにある高級自動車や航空機エンジンで有名なロールス・ロイス社は新たな案が出されています。

ロールス・ロイス社は「ブルー・オーシャン」なるプロジェクトの元、海上を航行する無人輸送船の開発を進めていると報じられています。同プロジェクトの開発チームによると、同社オフィスには360度ビューを再現したシュミレーターが設置され、ここれは海上を航行する無人輸送艦から送られたと想定した映像データが表示。構想ではこのように、陸上に置かれた装置で海上の船を操作するということが想定されているといいます。



この構想が実現するとどうなるのか。ロールス・ロイス社のオスカー・ラベンダー副社長によると、技術的な面からはいつでも実行可能で、10年もあればバルト海のような海域で運用が行えるとしています。また、乗組員の居住スペースや合わせて設置されるトイレや風呂、空調などが不要になることで、船体重量は5%削減、燃料コストも最大12~15%削減可能だとしています。

ただ、 ラベンダー副社長は「規制のハードル、業界と組合からの反対意見がある」とし導入は難しいとしています。

具体的にどのような反対意見なのか。国際海運会議所のサイモン・ベネット氏によると、「法律では船舶の運航には最小人数を定める規定があるので無人輸送船は違法になる」と指摘。船舶保険の9割を占めているP&Iクラブの国際グループは「無人船舶がIMO(国際海事機関)規則に沿っていないと判断される以上、保険を適用することはできない」としています。

参考:Gigazine