
「アメリカでも見つけられなかった小惑星を発見している」などと自画自賛しているのはロシアの小惑星早期発見警戒システム『MASTER』です。最近、このシステムについて改修する案がでているとのことです。
そのメートル級の望遠鏡は、すでにモスクワ国立大学の研究室で設計されている。実際の製造には、ロシアの企業があたる。MASTERは現状でも、たとえば昨秋、2つの小惑星(150m級と200m級)を発見する成果を挙げている。米国などの宇宙当局には発見できなかった天体だ。この観測網が、大型望遠鏡の導入で、さらに強化されることになる。宇宙からの脅威によく遭遇するロシア。脅威とは隕石や小惑星・彗星なのですが、去年の2月にロシアに落下したチェリャビンスク隕石を初め、過去に発生した有名なツングースカ大爆発もおなじロシア国内で発生した脅威によるものと言われています。
ロシアのものに限らず、概して、現在の小惑星早期発見システムは欠陥を抱えている。小惑星研究所のアレクサンドル・バグロフ氏はそう語る。
The Voice of Russia
実は、ロシアはこれら宇宙からの脅威について、かなり真剣に対策を行っておりその一つとして観測網『MASTER』という小惑星早期発見警戒システムがあります。これは40cm級望遠鏡8基をネットで繋ぎ観測データを各望遠鏡に伝え、小惑星を捕捉するというものです。
しかし、モスクワ国立大学ウラジーミル・リプーノフ教授によると、これだと「発見が遅くなりすぎる」とし、小惑星の接近一日前に市民に危険を報知するには、「メートル級の望遠鏡が必要だ」と主張しています。また小惑星研究所の研究者の話としてこのシステムを完全にするためには「金星軌道上に宇宙望遠鏡を設置する必要がある」と述べているといいます。
迎撃には核兵器?
ロシアの国家ロケットデザインセンター上級研究員によると、脅威となる小惑星や隕石の迎撃について低温液体燃料を使用するソユーズやアンガラロケットでは発射までに時間がかかりすぎ衝突には間に合わないと話しています。その上で、常温で保存可能でいつでも発射可能な重大陸間弾道ミサイル「SS-18」が望ましいとしています。参考:ロシア科学者「核兵器で隕石を破壊することは可能だ」 : ZAPZAP!
SS-18(改良型衛星打ち上げロケット ドニエプル)の発射
また、2009年12月にはロシア宇宙庁のアナトーリ・ペルミノフ長官が2036年に地球近くを通過する隕石、アポフィス(直径350m程度)を名指し、「衝突が起きるまで何もせずに大勢の死者を出すよりはずっとましだ」などとし、核兵器を使用しない回避方法について提案しています。
ちなみに、国家ロケットデザインセンターがあるのは昨年隕石が落下した同じチェリャビンスク市にあります。