水道水

中国で広まる奇怪な噂。もちろんネット上を漂うもなのですが、最近水道水を熱することで塩素から発がん物質が…」云々と、水道水に対する懸念が広まっているといいます。

2014年3月12日、中国のネット上では最近、「水道水を加熱すると、含まれている塩素から発がん物質が発生する」という情報が飛び交っており、水道水に対する懸念が高まっている。新京報が伝えた。

専門家は、「水道水に含まれる塩素は微量で、人体に害を及ぼすことはない。また、発がん性を示す流行病学的証拠もない」との見方を示した。

Record China
水に関する中国の話題はこれまで複数回お伝えしていますが、このような噂は初めてのものになります。中国版ツイッター・微博で広まっているのは「水道水に含まれる塩素の危害はどれほど?あなたの家族が飲んでいる水は安全?」というタイトル文章です。

本文にはこのように書かれているといいます。
「水中の細菌やウイルスを殺すために、水道水には塩素が使われている。しかし、塩素は人体に有害で、特に水道水を沸騰させて飲むと危険。塩素が過熱されると、水中の有機デトリタスからクロロホルムなどの発がん性物質が発生する。長期にわたって塩素を含む水を飲むと、心臓疾患や貧血、膀胱がん、肝臓がん、直腸がんなどを患う可能性がある」

実はネットで調べてみるとこれに近い内容を目にすることができます。それは水道水中に存在する有機物と塩素剤が反応し、発がん性のあるトリハロメタンなる物質ができるというものです。
しかし、「水道水中のトリハロメタンの煮沸除去に関する研究」という論文によると「煮沸により未加熱水道水の全THM(トリハロメタン)濃度の10%の水準にまで減少させるための所要時間は,最大で4分であった」としていることから、仮に中国で噂されているものがトリハロメタンだとすれば真逆のことが言われているということになります。(ただし、大阪市水道局が昭和55年に行ったという煮沸テストでは沸騰後100秒までトリハロメタン濃度が上昇すると示されている)

トリハロメタンに関するページは胡散臭いサイトが多くこれは総トリハロメタンを記述しているWikipediaにも総トリハロメタンと浄水器という項目があり「逆に短時間の煮沸はトリハロメタンを増加させるというデータをあげて危険性を煽り、数十万円の浄水器等を売り込む商法が見受けられる」と記載されています。

ちなみに、日本における水道水のトリハロメタンは0.1mg/L以下とす、クロロホルムについても0.06mg/LとWHOガイドライン値よりも厳しい基準が設けられています。