火星

今世紀前半中には人間が火星軌道もしくは火星地表に到達することが考えられているのですが、宇宙船やロケットの技術開発以前に人間そのものに問題が発生する可能性について米国医学研究所はこのように主張しています。

 火星や小惑星への有人探査を実行するには、放射線やその他健康上のリスクから宇宙飛行士を守るための現行基準は変えず例外を認める必要があると、4月2日、米国医学研究所(IOM)の専門家から成る委員会がNASAに注意を促した。

 NASAは、宇宙飛行士を2021年に小惑星へ、2030年代には火星へ送り込むことを検討している。また、標準的な 6カ月の滞在期間を超える国際宇宙ステーションでのミッションも計画中だ。放射線被曝や無重力による健康へ のリスクは、滞在期間が長くなるほど高まる。

NATIONAL GEOGRAPHIC
NASAは現在火星へのフライバイミッションとして、2021年に火星軌道へ向け人類を打ち上げるという計画を発表しています。具体的には2021年11月に打ち上げ、2022年4月に金星付近を通化し10月に火星軌道へ、その後2023年6月に地球に帰還するという内容です。

このミッション内容や今後の火星有人ミッションで問題になってくるのは宇宙船やロケットなどの技術開発というよりもミッションを遂行する宇宙飛行士です。
これはNASAの依頼を受けて米国医学研究所(IOM)の専門家から成る委員会が出した報告書なのですが、「長期間の探査で高まるリスクに対して唯一倫理的に許容可能なオプションは、既存の健康基準に例外を認めることだ」とし、『NASAは社会への利益と飛行士が直面する危険性との比重を計りながら、計画中ミッションの倫理的審査を重ねた上で、宇宙飛行士の自発性を基本として深宇宙への探査を提案しなければならない』と記されているといいます。

オリオン宇宙船
▲オリオン宇宙船

2021年11月の打ち上げでは2名の宇宙飛行士により行われるとされており、500日を超える有人火星ミッションでは行って帰ってくるまでで合計被曝量が1Sv(1000mSv)を超えること予想されています。

これは火星地表に到達した探査機『キュリオシティ』に搭載された放射線評価検出器による測定の結果によるものなのですが、同じ環境に人が晒されたときNASAが設けている宇宙飛行士における生涯の合計被曝量、男性800mSv(0.8Sv)女性600mSv(0.6Sv)を一度のミッションで超えてしまうと言われています。

報告書では許容できない危険レベルを選択するような状況に宇宙飛行士を置かないようNASAに注意を促しているのですが、現在の基準で向かうとなると煙草を吸ったことがない45歳以上の男性と55歳以上の女性だけで太陽極大期が云々とかなり厳しい人選になることが予想されています。
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