鉛筆

中国で先日、子供の血液から基準値を超える鉛が検出された件について、地元政府の高官が「鉛筆の芯(炭素)をかじっていることが原因」などと意味不明な発言をしたところ、各方面から「無知すぎる」と集中砲火を浴びることになったと報じられています。

中国湖南省衡陽市衡東県大浦鎮で先日、健康診断を受けた児童300人余りから血中鉛濃度が基準値を超える値を示したことが明らかになりました。値は最大で3倍を超える児童もおり、国営新華社通信によると地元の化学工場が原因と考えられ一時的に閉鎖されたと報じられています。

そこまでは良かったのですが、衡陽市の行政府トップ蘇根林氏が中国中央テレビに出演しある発言を行ったところ、一般人を含む中国共産党機関氏を含む多数のメディアから非難が集中したと報じられています。
蘇根林氏はテレビで何と言ったのかというと「学校で鉛筆を使っている。子どもたちが鉛筆を噛んだことで、血中の鉛濃度を上げている一因ではないか」という趣旨の発言をしてしまいました。

鉛筆の芯の素材となっている黒鉛は炭素の結晶(元素鉱物)であり、『鉛』という文字が入っているものの『鉛が含まれてい』ないことが19世紀はじめに確認されています。

この発言について中国共産党の機関紙人民日報は「鉛筆が(鉛ではなく炭素鉱物の)黒鉛から作られていることは、科学的な常識だ」と社説を掲載し、中国版ツイッターでも一般人から「こんなにも知能指数の低い共産党幹部が、よくも公衆の面前に出られたものだ」などとコメントが相次いだとのことです。


ただ、彼の発言を擁護すると中国で市販されている物、例えば化粧品や香水の90%、シャンプーやリンスの30~40%からは発がん物質、合わせて美白関連の化粧品の23%からは基準値の最大4万倍を超える水銀が実際に検出された例が存在します。
その上で、鉛筆の芯の素材が炭素であろうと中国で作られたものに重金属が混入することは十分考えられず「一因ではないか」という主張が全て間違っているとは言い切れません。

子供から基準値を超える鉛が検出された原因についてはまだ分かっていないのですが、食べ物や飲水が原因であることはほぼ間違いなく、大人も同様に鉛に汚染されていることが予想されます。