カンピロバクター

人が一般的に使用する動物の肉として牛肉、豚肉、そして鶏肉があります。このなかで、鶏肉について「洗うと良い」などと聞いたことがあるかたいらっしゃると思いますが、英国の食品基準庁は洗うことで逆に食中毒の危険性を高める恐れがあるとし注意を促しています。

AFP通信によると、イギリスの食品基準庁(Food Standards Agency、FSA)の発表として調理前に鶏肉を洗う行為について注意を促していると報じています。

FSAによると、鶏肉にもカンピロバクター菌がついていることがあり、これが英国で発生する食中毒の最大原因になっているとしています。その上で、国内には鶏肉を調理する過程で洗うという人が44%前後いるとし、水洗い行為をやめさせようと活動を開始しています。
具体的にFSAは「食品安全週間(2014 Food Safety Week)」などと鶏肉の洗浄反対キャンペーンを展開しており、料理番組の製作者に番組内で鶏肉の洗浄をやめるよう求める公開書簡を出しているとのことです。

▼カンピロバクター
カンピロバクター_1

日本におけるカンピロバクター食中毒

日本国内におけるカンピロバクター菌によるカンピロバクター食中毒はあまり知られていませんがノロウイルスに続いて多い食中毒とされています。何れも平成13~20年のデータながら、毎年400~500件の食中毒が報告されており、1800~3000人が食中毒を発症しています。

厚生労働省によるとカンピロバクター菌はほぼ全ての動物が保菌しており汚染された食品、飲料水の摂取や、動物との接触によってヒトに感染します。発症に必要な菌数はわずか100前後と少なく、症状は下痢、腹痛、発熱、悪心、嘔気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感と他の食中毒と酷似しており、発症するまので潜伏期間は2~5日前後。カンピロバクターに感染した数週間後に、手足の麻痺や顔面神経麻痺、呼吸困難など「ギラン・バレー症候群」を発症する場合があります。

また、具体的に鶏肉がどのくらい汚染されているのかという点について厚生労働科学研究食品安全確保研究事業の下が岩手大学が研究を行ったところ鶏レバーで66.1%、砂肝66.7%、鶏肉で100%としています。合わせて大規模食鳥処理場併設食鳥処理施設におけるカット鶏肉についてのカンピロバクター汚染調査の結果では、定性試験で135検体中91検体(67.4%)、定量試験で135検体中86検体(63.7%)が陽性反応を示しました。

カンピロバクターによる食中毒を防止する方法として75度以上で1分以上加熱すること、食器や調理器具を分けること、食肉を取り扱ったあとはよく手洗いすることなどをあげています。