BE-4

ロシアからアメリカに輸出されている高性能ロケットエンジンRD-180が停止された件について、アメリカのユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)社はベンチャー企業と共同で次世代エンジンBE-4を開発する方針を発表しました。

United Launch Alliance(ULA)は17日、ロシア政府によるRD-180エンジンの禁輸措置を受けて、Amazon創業者のJeff Bezosが立ち上げたBlue Originと共同でRD-180代替のエンジンを開発することを発表した。

ULAでは、現在、Blue Originが開発を進めているBE-4をRD-180に代わるAtlasとDeltaの両ロケットのメインエンジンに決定した。

BusinessNewsline
ロシアによりクリミア半島が併合された件でアメリカはロシアに対し経済制裁を発動し、宇宙に関連する分野に至るまで関係と閉ざす方針を発表しました。これについてロシア側の対抗処置として、アメリカが国内から打ち上げているアトラスロケットの第一段エンジン、RD-180のアメリカへの輸出を停止したと言われています。(但し、平和利用の衛星打ち上げについてはこれまでどおり輸出するとしている)

RD-180
▲燃焼試験中のRD-180 2基構成のエンジンに見えるもののこれ自体が1基のエンジン

RD-180はロシアのNPOエネゴマシュが製造しているエンジンで、アメリカのプラット&ホイットニーとロシアのNPOエネゴマシュ合弁企業RD AMROSSを介しロシアから輸入しており、その後アトラスロケットに搭載されていました。

この件については前回「アメリカ、軍事衛星の打ち上げ困難に」でお伝えしたとおりなのですが、アトラスロケット及びデルタシリーズを製造開発しているユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ロッキード・マーティン社とボーイング社の合弁事業)は、RD-180に代わる次世代ロケットエンジンとしてAmazon.comの設立者である、ジェフ・ベゾス氏が設立した航空宇宙ベンチャー企業、ブルーオリジンと共同開発を行うことを決めたと発表しました。


▲記者会見とBE-4の模型(実際は高さ4m程)

記事によると、エンジンはBE-4と呼ばれるブルーオリジンが現在開発しているロケットエンジンで液体酸素と液化天然ガスつまりLNGを燃焼させるというこれまでにない新方式とのことです。アトラスVロケットであればBE-4を2基搭載することで、RD-180 1基分に相当する推力を得られると想定されています。

sorae.jpによると、BE-4の開発は3年前にから始まったとされており、試作品は2016年に燃焼試験が行なわれ2019年までにBE-4エンジンを搭載した初のロケットが打ち上げ予定とのことです。BE-4の性能としては海面高度での推力は550,000lbf(約2.45MN)とされています(RD-180は860,568 lbf (3,83 MN))。