石鹸やマウスウォッシュをはじめ、タオルなど抗菌を謳う様々な商品に配合されている物質「トリクロサン」について、米大学が行った研究によると筋力に悪影響を与えている恐れがあることが分かったとしています。
ハンドソープやパーソナルケア製品の殺菌剤(抗菌性化学物質)としてして広く使用されているトリクロサン (triclosan) は、分子レベルでは筋肉の収縮を妨げることで、筋力を減少させることが University of California, Davisと University of Coloradoが行ったマウスを使った実験により明らかとなった。米カリフォルニア大学とコロラド大学が共同で行った研究によると、石鹸やゴミ袋に至るまで抗菌を謳い配合されているトリクロサンについてマウスを用いた実験では筋力を減少させるという影響が出ていたことが明らかになりました。
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これは人が日常的に接するトリクロサン量を想定し同じ比率でマウスに与えた場合、筋収縮性にどれだけ影響を与えるのか実験をおこなったものです。研究チームによると、分子レベルでは筋肉の収縮を妨げることで筋力を減少させること分かったとしており、これは人間にも影響を与えている強力な証拠だとしています。
耳にしないトリクロサンとはヨシダ製薬によると、「一般細菌に対する殺菌力に加えて、ブドウ球菌などグラム陽性菌に対する静菌力において優れた効力を持つ抗菌成分である。手指などの皮膚に適用した場合、良好な持続効果や累積効果を発揮する」としており、欧米ではトリクロサン含有の薬用石けんが手術時手洗いなどに繁用されているものだとしています。
トリクロサン微粒子を含有する製品として靴下、おむつ、紙、カーペット、ウェットティッシュ、ヘアカラー、口紅などなど人と接すことが多いものに含まれることがあるとのことです。(参考)
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トリクロサンについては米ミネソタ州はこの成分を含有している衛生商品の販売について、2017年1月以降に禁止するという法律が実施されようとしています。
日本の厚生労働省が抗菌効果を認めている一方、米国食品医薬品局はトリクロサン含有抗菌せっけんの製造業者に対し、効能を裏付けるデータの提出を義務付ける方針をだしており、これまでの結果から「トリクロサンを含む石けんが普通の石けんと水よりも菌の除去に効果的だとする証拠はない」と当局は発表しています。
ちなみに、国立医薬品食品衛生研究所はノロウイルスの感染防止に関する実験として、トリクロサン含有の抗菌性石鹸は最も低い効果を示し、石鹸を用いない手洗いと同様だったとする結果を発表しているとのことです。