はやぶさ2とインパクター

はやぶさ2の打ち上げが迫っていますが、今回ははやぶさ2に搭載されている特殊な装置『インパクタ』(衝突装置、SCI:Small Carry-on Impactor)についてどのようなものなのか紹介していきます。

前回のはやぶさと今回のはやぶさ2が異なる点としてインパクタがあります。はやぶさ2のインパクタは小惑星の内部のサンプルを得るため搭載されたもので、これを起爆し小惑星に激突させることでクレーターを作り内部を露出させます。

インパクタとはどのようなものなのでしょうか。はやぶさ2のインパクタ(SCI:Small Carry-on Impactor)は自己鍛造弾とよばれるもので一般的には戦車等を対象に使用される兵器に導入されています。これを民生利用したものが今回のインパクタになります。

自己鍛造弾

こちらの画像が一般的な自己鍛造弾の構造と飛び出す弾丸になります。見た目は円形のケースに火薬と起爆装置、そしてケースに蓋をするように盆状の銅板が取り付けれられた構造になっています(画像左側)。火薬が爆発すると盆状の銅板が吹っ飛び、極短時間で細長い弾丸状に変形。超音速で飛行したのち運動エネルギーで戦車の装甲に穴を開けるという効果を発揮します。

アニメーション


TOWミサイルの発射テスト(自己鍛造弾。戦車の爆発は誘爆によるもの)


はやぶさ2のインパクター
photo:KJLAND

ただ、今回の自己鍛造弾は戦車の装甲を撃ちぬくような構造ではなく小惑星にクレーターを作るのに効率的な形状になっているとのことです。

ちなみに、JAXAはRPG-7のような対戦車ロケットに使われる成形炸薬弾や直接採掘しサンプルを得る方法、また子機を衝突させクレーターを作るという方法が考案されたそうなのですがコストや信頼性、サンプルの汚染(熱や化学変化)を比較した上で、自己鍛造弾が採用されたとのことです。