先月、アメリカの国際空港で国外に持ち出しが禁止されている軍事分野の資料を所持していた中国人が逮捕されていたことが明らかになりました。男は軍事企業に勤めていた事があり、ステルス機のエンジン開発に携わっていたとされています。
【ワシントン=今井隆】米コネティカット州の連邦地検は9日、勤務先から米軍機に関する機密資料を盗み、中国に持ち出そうとしたとして、米国在住の中国人技師ユー・ロン容疑者(36)を起訴したと発表した。報道によると、逮捕されたユー・ロンという人物はF-22とF-35のエンジン製作に関わっていたエンジニアということで、勤務先はどいうやらプラット・アンド・ホイットニー社のようです。ロン容疑者は2014年5月に会社を辞めており、2014年11月5日に中国へ帰国しようとした際に乗り継いだ空港の荷物検査で国外に持ち出しが制限されている資料を所持していたことで逮捕されました。
YOMIURI ONLINE
ロン容疑者は7日に逮捕されたのですが、荷物検査で見つかった資料には最新のチタンに関する内容が書かれていたとのことです。
戦闘機をはじめ航空機に搭載されているターボファンエンジンにはチタンが使われていることがあり、エンジンの心臓部とも言われるタービンブレードやコンプレッサブレードにこの素材が使われいます。
▼プラット・アンド・ホイットニーF119
F-22にはチタン製タービンブレードが採用されているプラット・アンド・ホイットニーF119(F119-PW-100)を2基、F-35にはF119の派生型であるプラット・アンド・ホイットニーF135(F135-PWシリーズ)1基が搭載されています。
逮捕される中国人と軍事技術
中国人がアメリカの軍事技術を盗み出そうとし逮捕されたのは初めてではありません。これは日本も関連していることなのですが、 2012年9月にMing Suan Zhangという中国人がアメリカ当局のおとり捜査にひっかかり逮捕されています。この中国人は「炭素繊維は2012年10月5日に行われる中国の新しいジェット戦闘機のテスト飛行に必要な素材だ」などとおとり捜査官に話しており、炭素繊維を中国へ密輸しようとしていました。
ちなみに共犯者は「日本からカーボンファイバー(炭素繊維)の入手が難しい」としアメリカで活動していたとされています。
参考:炭素繊維の不正輸出とアメリカで逮捕された中国人 - EUROPA(エウロパ)