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風変わりな形状のこちらの乗り物(CG)。実は宇宙と地球を行き来できるスペースプレーンです。これはイギリスの企業が開発しているものなのですが、2019年にも初飛行が行われる見込みだとしています。

イギリスの企業リアクション・エンジンズが開発を進めているのは国際宇宙ステーション軌道へ11トンという質量を運ぶことができる次世代スペースプレーン「スカイロン」です。

地球の裏側まで4時間で到着できる航空機「SKYLON」のテストが2019年に実施予定 - GIGAZINE

プロジェクトは日本のJAXAにあたる欧州宇宙機関 (ESA)も資金の提供やエンジンの開発を行っており、2013年にはイギリス政府が試作機の製造に6000万ユーロを出資したというモノなのですが、これまで言われていた予定通り“2019年の初飛行”を目指し現在計画が進んでいると改めて発表があったそうです。 

スカイロン_3

スカイロン最大の特徴はロケットのように一度きりの使い捨てとは異なり、旅客機のように再利用可能な宇宙船で離着陸に至っても通常の滑走路から飛び立ち再び滑走路に着陸するという形になります。これを可能にしているのはデュアルモードラムジェットエンジンです。

これは「SABRE」と呼ばれているものなのですが、スカイロンに搭載されたSABREは大気圏内と宇宙空間では異なる燃焼を行い宇宙を目指します。具体的には大気圏内ではブリージングモードで飛行します。この状態では機内に搭載された液体水素と大気中の酸素を燃焼しマッハ5.4まで加速します。その後はロケットモードに切り替え同じく機内に搭載した液体水素と酸素を燃焼させ、一気にマッハ15まで加速させます。



▼実験段階のSABRE(実物とはサイズ等は異なる)


リアクション・エンジンズによるとスカイロンは無人のスペースプレーンとなる予定で、国際宇宙軌道といった低軌道への物資の打ち上げは従来の1/10程度と低コストで運用することが可能だとしています。また人工衛星等を乗るスペースを改良することで有人の打ち上げ、また旅客機としての高速の移動手段としても使用することができると述べているそうです。ちなみに60人前後が搭乗でき予想される価格は一人あたりファーストクラスとビジネスクラスの中間くらいとのことです。

仮にスカイロンが実用化した場合、新たな宇宙への移動手段としても大きな前進となるのですが計画が成功するか否かはエンジンの開発にかかっているようです。

▼スカイロンの機体構造
③の赤い部分が液体水素の燃料タンク、青の④が液体酸素の燃料タンク、中央の⑤が衛星を収めるスペースになります。
スカイロン_2