Luhman 16b

ヨーロッパ南天天文台は地球に最も近い褐色惑星という天体について初めてその天体表面の気象図の作成に成功したと発表しています。

ヨーロッパ南天天文台はがチリ・パラナル天文台に設置した超大型望遠鏡VLT(Very Large Telescope)を使用し、初めて褐色惑星の地表付近の天気図の作成に成功したと発表しています。

ESO: 褐色矮星の気象図の作成に初めて成功





記事によると気象図を作成したのは地球から6.52光年離れた「ほ座」の方角にある星系Luhman 16(WISE J104915.57-531906.1)にあるLuhman 16b(WISE 1049-5319 B)という天体です。Luhman 16bは太陽系にはない褐色惑星で、木星や土星といった巨大ガス惑星ながら質量が足らず恒星になれなかった天体です。

ヨーロッパ南天天文台によるとこの褐色惑星が出す赤外線を観測し、天体表面の暗い部分の特徴の変化をマップ化することに成功しました。この変化については2013年の時点で16時間ごとに明るさが変わることが知られていたとのことです。

連星のLuhman 16a及びb
Luhman 16

褐色惑星は木星質量の13~75倍程度がこの系列の天体になるとされており、Luhman 16bは太陽質量の3~5%の天体であることが確認されています(木星は太陽の0.09546%の質量しかない)。またLuhman 16bはLuhman 16aという同じく褐色惑星を公転している連星であることが分かっており、両者の距離は地球と太陽の約3倍離れ、公転周期は25年と言われています。

褐色惑星の内部では誕生間もなく重水素が核融合させていたことで熱を帯びており、気象図が作成されたLuhman 16bについてはその表面温度は1210ケルビン、約937度となっています。