エキノコックス症とはなにかご存知でしょうか。包虫症などとも呼ばれる感染症なのですが、異常なほど発症者が多いのは中国です。今回はチベット自治区の地域で多発しているというこの病について紹介していきます。写真は病の元である多包条虫という寄生虫。
「(エキノコックス症を発症した)従姉妹の腹部から頭部大の腫瘍がこぼれ落ちる様子を目にした」などと世にも恐ろしい目撃談を語っているのは中国四川省チベット自治区石渠県で暮らす人です。【中国】四川省カンゼ・チベット自治州の人口10万人に満たない石渠県は、エキノコックス症の発症率が中国で最も高く、過半数を超える1万2000世帯が、家庭に少なくとも1人の発症者を抱えているという。同県では、2005~08年までに401人が亡くなり、2007年の有病率は14.99%に達した。これは、世界で最も有病率の高い地域であることを意味する。膨湃新聞網が24日付で伝えている。
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石渠県は世界でもエキノコックス症の有病率が最も高い地域と言われており、大半の家庭に1人はこの病を発症させている状態だといいます。
エキノコックス症は身近な犬やネコ、その他牛、羊、豚、鹿、狐が感染している場合があり、動物から人間に感染するということが日本を始め世界で報告されています。
問題の地域では上下水道が未だに整備されていないところが多く、生活に使用する水源を家畜の群れや野犬と共有しているため発症率が高いと考えられいます。中国ではこの地域に対しエキノコックス症の無料投薬治療の対象にしており予防及び治療に力を入れはじめているとのことです。
引用先にも書かれているようにエキノコックスは体内に取り込まれた後、発症するまで非常に長い潜伏期間があることを知られており発症までに実に5~30年(小児で5年、成人で10年以上)とされています。
発症し場合として、発症初期は全く自覚症状がなく幼虫により嚢胞(病的な袋状のもの)を形成する過程で違和感を感じ感染に気づくことがあるといいます。しかし、この頃になると進行しており嚢胞が破れるなどして肝臓以外のありとあらゆる臓器、脳や骨、心臓にいたるまで寄生されている場合もあるとしています。
治療方法は2つあります。外科手術で幹部を切除する方法と、内服薬にて化学療法を行うものです。また、早期発見し早期治療が行われた場合は治癒率も高い一方、自覚症状がある場合まで進行した場合については完治は難しいとされています。
死亡率は何もしなかった場合として、発症から5年以内に70%が死亡、10年以内で92%が死亡するとされています。
photp:桑原動物病院