MQ-9

アメリカとメキシコの国境を監視するため導入された無人偵察機について、運用コストが予想の数倍かかっていたことが明らかになり無人機の拡張計画を中止するよう促す報告書が提出されました。

アメリカとメキシコの国境は年間3億5000万人が行き来するという世界で最も頻繁に横断される国境と知られており、その長さは日本の北海道から九州の距離に匹敵する3100kmあまりです。
この長い国境についてメキシコ以外の人を含め不法入国者を監視するためアメリカは2004年からMQ-9という軍用無人航空機が10基導入されました。しかし、思った以上にコストがかかり一方で目立つ成果があげられていないという事実が明らかになりました。

米国土安全保障省が異例の監査報告書、UAVによる国境警備は有効ではない - BusinessNewsline

これは米国土安全保障省が提出した報告書に書かれていたもので、その中で最も問題視されたのは運用コストです。実は導入前は同偵察機を使用した1時間あたりコストは2,468ドル(約29万円)とされていたものの、実際は12,255ドル(146万円)と5倍になっていたことが分かったとしています。

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これら無人機はどのように運用されているのかは明らかにされていないものの、米国境警備局は3日ごとに無人機を使用し国境付近を撮影することでその差(例えば車が通った跡や足あと)などを探し、不法入国者を探すということを行っていたとされています。

米国土安全保障省監査室によると、無人偵察機を使用した不法入国の監視活動を今後拡張するため4億4300万ドル(約526億円)の予算が組まれるとしているものの予算はUAVではなく、別の国境警備の手段に当てたほうがよいと判断しているようです。


無人機の運用は一般的に『低コストで運用できる』ということが魅力の1つとされています。しかしなぜ予想の5倍というコスト発生したのか、まずはそこを見直す必要があるかと思われるのですが記事を読む感じでは削減することは難しいという印象を受けます。