遼寧_1

現在艦載機の運用試験を行っている中国の空母『遼寧』。ウクライナから旧ソ連製の空母を購入したものなのですが、購入するに至った経緯が交渉を行った本人より明らかにされています。

『空母を偽装購入した中国人「政府から代金が支払われていない」と訴える』では人民解放軍の元軍人で実業家が政府から購入代金を支払われていないという記事を紹介しました。
今回は具体的にどのようにして偽装購入されたものなのか本人が明らかにしています。

これは香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストがウクライナ側と交渉した実業家を取材した記事を掲載したもので、今月19日、そのやり取りが初めて明らかになりました。

ウクライナからの空母購入、商談の決め手は「酒50本」だった―...:レコードチャイナ

記事によると1990年代、中国政府はウクライナに係留されている「ワリヤーグ」を取得するため人民解放軍の退役軍人である徐増平(シュー・ゾンピン)氏に目を付け、交渉人となるよう抜擢しました。徐氏は香港の貿易商で実業家。中国政府から指名を受けた後、空母ワリャーグ購入のための準備は1996年から始まったといいます。

▼中国へ向かうワリヤーグ
ワリヤーグ

手始めに行ったのはウクライナの首都キエフに会社を設けるということ。この時からウクライナ側と交渉を進めていたらしく、当初からウクライナは「売却後の軍事利用は認めない」と態度を明らかにしていたといいます。そこで徐氏はマカオで世界最大の洋上カジノにするということで話しを進め、2000万ドル(現在の約23億6000万円)の価格で商談を成立させたというものです。(ウクライナ側が2000万ドルを提示したのは1998年とされている)

徐氏はこの間、中国の蒸留酒「二鍋頭」を携えウクライナ側と親交を深めていったとも明かしています。

Wikipediaによると創律集団旅遊娯楽公司(社長は徐氏)が1998年に空母を購入。創律集団旅遊娯楽公司は事務所も電話もないペーパーカンパニーであり、カジノの営業資格もなかった。そもそも、マカオの港は、水深10メートルほどしかなく空母は入港できないとしています。

この案を出したのは中国政府なのか徐氏なのかは不明なのですが、何れにしても元々海上カジノとして使用することは計画しておらず結果的にワリヤーグは中国に渡った後中国海軍に引き渡されています。

徐氏は商談役を引き受けた理由としては「中国軍の軍事力を拡大させたいという動機によって関わった」と話しており、元軍人ということもあり断ることができなかったとも考えられます。
ちなみに徐氏によると「空母取得に必要だった代金、及び空母の輸送費用は中国政府からは全く支払われていない」とも話しており、政府に裏切られるという映画にありそうな展開になっている現状を明らかにしています。