ショルツ星
photo:University of Rochester

46億年前に誕生した太陽系についてこれまでもいくつかの激変の後現在の姿になったとされていますが、実は今から7万年ほど前、長期に渡り安定した太陽系を危機的状況に陥らせる可能性があったとする研究が発表されています。

【AFP=時事】今から約7万年前、太陽系からおよそ8兆キロの距離を1個の恒星が通過したとの研究論文が17日、英学術誌「アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)」に掲載された。これは宇宙の基準からすると、史上最大の「危機的状況」だったという。 

MSNニュース
これは米ロチェスター大学の天文学者エリック・ママジェク氏率いる国際研究チームは発見したもので、今から7万年前に恒星の一種である赤色矮星と褐色惑星の連星で太陽系から約0.82光年(52,000AU)、オールトの雲などと呼ばれる太陽系外縁部を取り巻く彗星の集まりの中を離れたところを通過したのではないかというものです。

この恒星は南アフリカとチリにある分光器と大型望遠鏡による観測で2013年に発見されたもので、赤色矮星は発見者にちなんで「ショルツ星(Scholz's star)」と名付けられました。現在は地球から20光年離れた位置にあり太陽系からは秒速83.1kmで太陽系からみて真っ直ぐに離れつつあるとのことです。

今回の発見はこれまで得られた観測データから恒星の速度を導き出し軌道を計算したもので、結果9割以上の確率でオールトの雲を通過したという結果が出ました。ショルツ星はTスペクトルクラスに分類され質量は太陽の0.15倍、木星質量の86倍前後で103億年ほど前に誕生した天体と考えられています。

ちなみに7万年前の人類について人口が一万人以下に激減したとされ、遺伝的な多様性の多くが失われ現在の人類につながる種族のみが残ったという出来事があったとされています(火山説が有力)。また人類が衣服を着るようになったのもこの頃のようです。参考