研究・生産冶金コンプレクス

太陽光を集め摂氏3000度を超える温度を作り出す施設が旧ソ連圏のウズベキスタンに残っています。今回はこの施設の現在の姿を紹介していきます。

ウズベク・ソビエト社会主義共和国、現在のウズベキスタン共和国に建設されたのは太陽炉研究所です。この施設は首都タシケントに近いテンシャン山脈の麓に建設されたもので、正式名は「研究・生産冶金コンプレクス(複合施設)」と呼ばれていたそうです。

施設が完成したのは1980年代後半のようで、反射鏡が62基の前に1基の円錐形集光装置で構成されています。光は集光装置に反射され前方にあり太陽炉タワー(集熱機)の一点に集められます。これにより最大3000度を超える温度を作り出せ、一方で冷却装置に送り込むことで極低温の環境を作り出すことができたそうです。

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▲集光装置。サイズは54m✕54m

この施設はもちろん現代の太陽熱発電のように発電所として使われたわけではなく、「昨日のソ連邦」によると高純度の合金を大量生産できる他、宇宙船の耐熱カプセルといった通常では難しい高低温環境の実験に使用されていたそうです。

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▲集光装置に使用された鏡だけで10,700枚

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▲反射鏡は2階建て建物サイズ

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現在この施設がどうなっているのかはちょっとわからないのですが、既に可動はしていないように思いえます。また反射鏡自体も撤去されているそうで、現在はわずかに残っているだけで周囲はぶどう農場になっているそうです。

Photo:English Russia