
人間にも骨をはじめ硬い天然の物質がありますよね。実は天然物質の中で最高の強度を誇るものとして貝の歯である可能性が高いとイギリスの大学が発表しています。
【2月19日 AFP】欧州の海岸に広く生息するありふれた軟体動物、カサガイの歯は、知られている中で最強の天然物質でできている可能性があるとの研究論文が18日、英国王立協会(British Royal Society)の学術誌「Journal of the Royal Society Interface」で発表された。今回、天然物質としては最も高い強度があるのではないかとされているのはカサガイと呼ばれる貝の歯です。カサガイは欧州の沿岸にいる一般的な貝でなのですが原子間力顕微鏡法を用いて歯を分子レベルで調べたところ極めて強靭な物質であることがわかったとしています。
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具体的には強度の基準として「引張強度」(ひっぱりに対しどの程度まで破損しないかという数値)を調べてみたとこカサガイの歯は3~6.5ギガパスカル(GPa)の強度があったことがわかったそうです。これは人類が作った最も強いカーボンファイバー製の合成繊維に匹敵しており、強度が高いとされるクモの糸の数倍だといいます。
研究チームによるとこの歯の構造を複製できれば人間の歯の修復をはじめ車や航空機など工業製品に幅広く使用することができるとしています。
ちなみに、同じく海にいるシャコの甲羅は人類が作り出した炭素繊維複合材の強度を超えて丈夫だったことが明らかになっています。炭素繊維複合材は航空機に使用されているもので軽量で強靭な強度を誇る素材なのですが、なんとシャコの甲羅と極めて近い構造をしていたことも明らかになっています。

▲炭素繊維複合材とシャコの螺旋構造
シャコの甲羅とカサガイの歯はどちらが強いのかという点が気になるところですが、いずれも身近な海洋生物から未だに発見があるというのは驚きですね。