ティラノサウルス_1

何千万年前という途方も無い時間をかけ再び地上に現れた恐竜の化石。ティラノサウルスと言うと恐竜の中でも最も知られた種類ですが、なんと過去にこの骨をめぐり人間同士が争っていたことはご存知でしょうか。

シカゴにあるフィールド自然史博物館を訪れたことがある人は、ティラノサウルス「スー(Sue)」の化石標本を見たはずだ。
 
スーの全長は12.8m、重量は約1,814kgで、これまで発見された中で最も大きく、完全に近いティラノサウルス・レックスの骨格だ。スーはさらに、これまでで最もばかげた、恐竜をめぐる法的闘争の対象のひとつとなった。

WIRED.jp
巨大な恐竜の骨というと老若男女問わず人気のあるジャンルの一つです。有名な種となると博物館の最も広いところに目玉として置かれることがあるほど重要な展示物になるのですが、実はシカゴのフィールド自然史博物館の1階中央フロアにある「スー」と呼ばれているティラノサウルスの化石について、裁判で争われていたことがあるそうです。

▼フィールド自然史博物館にて展示されているスー
フィールド自然史博物館のスー

記事によると、スーは世界にこれ以外に発見されていないという完全骨格で発掘されたものの、「スー」をめぐって発見者、地権者、ネイティブ・アメリカン、そしてアメリカ政府により法廷闘争が発生しました。

具体的に、発見者はブラックヒルズ地質学研究所のピーター・ラーソン氏なのですが、発見後に地権者が「ブラックヒルズ地質学研究所が支払った5,000ドルは単に化石の発掘許可を与えたものにすぎない」などと所有権を主張しはじめます。さらにネイティブ・アメリカンらは「(地権者以前に)元は私達の土地だ」と参戦。さらに米国政府もまでも参戦し「この骨格はもともと連邦政府の所有地に属していたものだ」などとし『四つ巴の戦い』になりました。

この法廷闘争は結果的に「先住民である地権者から土地を信託された合衆国内務省の許可を得ない売買は無効」という判決が下り、国が骨を押収。後にオークションにかけられ10億円という価格で売買されフィールド自然史博物館に収蔵されることになったとのこと。

ちなみにこのブラックヒルズ地質学研究所のピーター・ラーソン氏はスーの骨を失っただけでは澄まず報告義務不履行の重罪2件と軽罪2件の有罪判決が言い渡され24か月の拘禁刑と罰金5,000ドルが課せられたそうです。一方、ブラックヒルズ地質学研究所ティラノサウルスの骨が会社のロゴとなっているようで、ホームページ等にも掲載されています。

非常に有名なスーの化石がこのような経緯を辿っていたということは全く知りませんでした。ちなみにティラノサウルス化石は当時大陸側とくっつていた日本(現在の福井県和泉村)でも見つかっています。