H-IIA

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は今月9日、宇宙開発利用部会で次世代ロケットH-3の設計概念を公表し2020年度の打ち上げを目指す計画を明らかにしました。写真はH-2A

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は9日、2020年の打ち上げを目指す新しい大型ロケット「H3(仮称)」の基本性能を明らかにした。全長約63メートル、衛星の搭載能力は6~7トンで、現在の主力ロケット「H2A」の1.3~1.5倍に高める。打ち上げ費用は50億円程度と半減し、衛星打ち上げビジネスで国際競争力をつける。

日本経済新聞
H-3ロケットについては数年前より打ち上げ能力を向上させる一方、コストを大幅に削減させたロケットにするという構想自体は発表されていました。今回は具体的な基本性能が明らかになり記事によると全長約63m、打ち上げ能力は最大6~7トン、補助ブースター及びロケットエンジンの基数を変更することで打ち上げ能力を変更させることが可能となっています。

H-3ロケットの最大の特徴としては打ち上げコストです。以前からH2Aとくらべ打ち上げコストを50~80%の削減するという目標は発表されていたのですが、今回は5割り程度の削減と見積もられました。

参考:マクロ経済のブログ
世界の打ち上げロケット

H-2ロケットシリーズについては何れも打ち上げコストが高く欧米や中国、ロシアで多くなっている商業打ち上げでは明らかな遅れをとっていることからH-3はコスト削減を中心とした開発が進められると考えられます。ただ、「1基、約50億円」というコストで打ち上げられるのはどのタイプのH-3なのか。また『5割り“程度”の削減』という表現が気になるところではあります。

今後の商業打ち上げはアメリカの民間宇宙開発企業が本格的に参入していることが考えられ、仮にこのような企業が当面の目標としている再利用可能ロケットが増えていった場合にH-3が自慢のコスト面で太刀打ちできるのかというと疑問があると言わざる負えません。
筆者としては「結局2割り程度のコスト削減に終わるのではないか」、「再利用可能ロケットなど野心的なロケットの開発を計画しても良いのではないか」と思ってしまうのですが「いろいろ難しいものがる」という印象を受けます。