エレクトロンロケット

ニュージーランドのベンチャー企業はこれまでとは異なる、電動駆動を採用した新型液体ロケットエンジンにより打ち上げコストが約10分の1になるというロケットを発表しました。

ニュージーランドのロケットベンチャーのRocket Labは、リチウムイオンバッテリーを使ってロケットモーターを稼働させるというまったく新方式の液体ロケットエンジンを発表した。

従来型の液体ロケットエンジンの場合、燃焼ガスによって…(略)

Technobahn
ニュージーランドのRocket Labが開発しているのは電動駆動のロケットエンジンを搭載したエレクトロン(電子)というロケットです。もちろん電動により宇宙へ向かうというモノではないのですが、液体ロケットエンジンには必ずついてるターボポンプを電動駆動にしたというものになります。



H-IIAロケットの場合、メインエンジンには液体酸素と液体水素を燃焼器を送り出す2器のポンプが付いています。液体水素用のターボポンプには同軸上に上部にスクリュー状のポンプ、下部にジェットエンジンのようなタービンが備わっており、タービン自体を水素と酸素との燃焼ガスで回転させることで上部のポンプを動かすという役割りをしています。

一方Rocket Labが開発する新方式の液体ロケットエンジンは燃焼ガスでポンプを回転させるのではなく、リチウムイオンバッテリーにより電気モーターで稼働させ、複雑な燃焼プロセスや配管を大幅に簡略化に成功。これにより打ち上げコストを大幅に引き下げることが可能だと主張しています。

電動液体ロケットエンジン

同社によると同じ規模のロケットと比較した場合として、エレクトロンは実に1/10のコストでまで低減できるとしており2016年中に同国初の打ち上げを目指すとのことです。

エレクトロンロケットは3Dプリンタやカーボンから作られており、110kgの衛星を高度500kmの低軌道(LEO)まで500万ドルで送り込むことができるとしています。本体の性能としては全体重量10.5トン、全長18メートル、直径1メートル、液体酸素とケロシンを推進剤としておりエンジンの最大出力は146キロニュートンとのことです。
同社はこれまでATEA 1という弾道ロケットを開発しており、この成功を受けてロッキード・マーティン、ロケットダイン、米国防総省DARPAと既に開発計画を契約しているなどとしています。