スペースX

海外メディアによると、米空軍が行なっている軍事衛星の打ち上げについてアメリカの民間宇宙開発企業「スペースX」に許可が与えられたと報じられています。

US Air Force(USAF)による政府需要衛星の打ち上げに参入できないのは不当だとして、SpaceXがUSAFとの間で進めていた交渉がまとまり、近くSpaceXによる軍事衛星打ち上げが許可される見通しとなったことが26日までに明らかとなった。

BusinessNewsline
これまで長らく軍事衛星の打ち上げを独占してきた政府需要衛星打ち上げについて、ついに民間宇宙開発企業がこれを担うという別の意味で新しい時代に入りそうです。

アメリカの通信や気象、偵察などいくつかの大型軍事衛星はこれまでユナイテッド・ローンチ・アライアンス(ULA)のデルタIVヘビーにより行われていました。この企業はアメリカで軍事で繋がりの強いボーイングとロッキード・マーチンの合弁企業です。

一方、小型~中型軍事衛星は同じくULAが製造し米空軍が運用するアトラスロケット(アトラスV)が使用されていたものの、このロケットのメインエンジンはロシアから輸出されているRD-180が使用されています。しかしウクライナ・クリミア半島による米ロの経済制裁とその報復が原因で今後のエンジンの調達に問題が生じる可能性がでてきたことにより、最近は代替案として米国産ロケット「ヴァルカン」を開発するなど動きを見せていました。

Reutersの報道によると今回打ち上げの許可を得たスペースXは2年ほど前から6000万ドルをつぎ込み米空軍の審査を受けてきたとしており、かなり難しい内容だったもののクリミア問題とロケットエンジンの供給不安が出てきたことが結果的には良い流れになったようです。

▼スペースXのファルコン9
ファルコン9

スペースXはテスラモーターズのCEOで知られるイーロン・マスク氏により2002年に設立された企業です。自社開発のファルコン9ロケットにより現在は国際宇宙ステーションへの物資の輸送をはじめ、将来的に有人宇宙船「ドラゴン」を使用した宇宙飛行士の打ち上げが予定されています。