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先月8日、ハワイ沖で行われたNASAの「低密度超音速減速機(LDSD)」の試験について、パラシュートが破れ試験機本体が海上に墜落していたことが明らかになりました。(写真は試験前の本体)

火星有人探査に向けて開発している「低密度超音速減速機(LDSD)」について、先日2度目の試験が行われたものの、パラシュートを広げる減速の段階でこれが破れまたも海上に墜落したと海外メディアが報じています。

この試験はLDSDという耐熱パネルとその周りに展開する浮き輪状のSIAD-R(超音速膨張式空力減速機)、そしてパラシュートからなります。気球を使い試験機を高度1万2000フィート(およそ37km)まで上昇させた後、エンジンを点火しマッハ3を超える飛行速度でSIAD-Rを膨らませ減速を行うという試験内容です。

試験では気球からの切り離し、加速、SIAD-Rの展開は成功したもののパラシュートを使った減速の段階で破れてしまいそのまま海上に墜落してしまいました。


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CNNによると、NASAはツイッター上で「今回の試験のデータを調査し、今後の改善に役立てる」としており、来年夏に行われる3度目の実験に向け開発を進めていくとコメントを発表しているそうです。


LDSDは火星のような大気が薄い天体では耐熱パネルのみでは十分な減速ができないとして開発されているもので、今回の試験では直径6mあまりの減速機を用いて試験が行われました。問題のパラシュートは直径30.5mありこちらも超音速で展開するもので極めて強靭な素材が使われていることが想像できるのですが、残念ながら2度も同じ失敗を繰り返す結果となりました。

NASAは火星への有人着陸に使用する着陸機は少なくとも10トン以上になるとしており、LDSDのような装置を利用し減速し軟着陸しようと考えています。