NERVA_1

1969年、人類初の月面有人着陸に成功したアメリカ。実はそれより遥か前に人類を火星に送ることができる極めて強力な推進力を発生させる原子力ロケットエンジンの開発に成功していたことはご存知でしょうか。今回は幻に終わった熱核ロケット「NERVA(ナーヴァ)」について紹介していきます。

ロケット原点とも言えるものが誕生したのは第二次世界大戦時、ドイツが開発したV-2ロケットです。そして戦後。アメリカは1969年に月面に人類を送り込むことに成功させましたが、第2次世界大戦終結後から10年もしないうちにアメリカは化学燃料ロケットではない原子力ロケットエンジンの研究を始め、最終的に実用化目前まで開発が進んでいました。

原子爆弾の開発を目的として創設されたことで有名なアメリカの国立研究機関『ロスアラモス国立研究所』は1952年より原子力ロケットの研究を始め、ローバー計画として本格的に進められることになります。その後、アメリカ原子力委員会とNASAは『SNPO』を組織します。

開発された原子力ロケットエンジン(核熱ロケット)は「NERVA (Nuclear Engine for Rocket Vehicle Application)NRX/EST」と呼ばれ、試験では延べ17時間の運用時間が行われており、エンジンや燃料タンク等は月に人を送り込んだサターンVロケットの上段に取り付けられるほど小型化に成功しました。合わせて十分な信頼性のある完成度だったといいます。

▼熱核推進NERVA
NERVA

NERVAは見た目は通常のロケットエンジンに近い形状をしているものの構造は全く異なっています。エンジン内部に送り込まれるのは通常の液体燃料を使用するエンジンと同じ液体水素なのですが、燃焼させないため液体酸素は必要ありません。液体水素はエンジンの噴射ノズルを経由しターボポンプを回転させた後、核燃料で構成させる原子炉内を巡り加熱させます。高温に加熱された液体水素は気体となり膨張した水素ガスをノズルから噴射させることで推進力を発生させます。

計画では熱核ロケットを搭載した従来のロケットを複数機打ち上げ宇宙空間でドッキング。軌道上で組み立て火星などの目的地に向かうとしていました。

▼NERVAの燃焼試験


NASAとSNPOは核熱推進は宇宙飛行に適しており化学ロケットシステムの2倍の比推力で運用できると判断していました。当時のアメリカでは1978年までに火星有人飛行、1981年までに大規模な月面開発を予定しており計画は全てNERVAを使用したミッションとなっていたそうです。
しかし、宇宙開発予算や政治的な理由により計画が実施される前の1972年、リチャード・ニクソン政権により全ての計画が中止されました。


長らくこの研究成果は表舞台にでることはなかったのですが、アメリカは2030年代の深宇宙ミッションとして有人火星探査を目標としており火星へ向かう推進装置として核熱ロケットで行う計画も発表がされているそうです。

▼MTV。右側の後部に取り付けられた核熱推進
MTV

参考:Wikipedia
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