イギリスの大学が開発した新たな太陽活動モデルから将来の太陽活動を予想したところ、なんと2030年代に小氷期に入る可能性が分かったと報じられています。このモデルについては予測と実際のデータと比較したところ97%一致する精度があるとのことです。
地球は2030年代に 「小氷期」(ミニ氷河期、Little Ice Age, LIA)に入る可能性があるらしい。この予測は、英国のノーザンブリア大学が開発した、太陽の活動周期の新しい数学モデルが示したものだ。この計算によると、2030年代には太陽活動が60パーセント低下し、地球の温度が急激に低下するという。このモデルはノーザンブリア大学の数学者、ヴァレンティーナ・ジャルコヴァ教授が開発したもので、『全英天文学会議2015』で既に発表されているものです。
WIRED.jp
太陽活動は太陽内部の深い場所にある流体の対流のみ太陽活動に影響を与えると考えられていたものの、最新の研究ではこれとは異なるもう1つの対流があることが分かったそうです。周期的に極小期、極大期を迎える太陽活動についてはこの2つの対流が同期すると太陽活動が極大期を迎え、同期がずれると極小期になることが既に分かっているといいます。
このモデルで明らかになったこととして2つの対流は2022年にピークを迎えうという第25周期にかけ太陽活動が極大期を迎える予測されているものの、2030年~2040年になると対流のずれが酷くなると予測を示しており、ジャルコヴァ教授によると「1600年代後半から始まったマウンダー極小期とほぼ同じ特性が生じる可能性が高い」としているそうです。
この太陽活動モデルがどのくらい正確なものかについては1976年から2008年までの太陽活動のデータを使って自分たちの理論を試した結果、観測値と97%一致したと話しているそうです。
同じ時期に太陽活動が低下するという観測データによる予測もあり、ナショナルジオグラフィックは2011年7月に「太陽が極小期に突入する3つの証拠」などとしてアメリカ国立太陽天文台の研究者を紹介していたことがあります。
マウンダー極小期
▲アブラハム・ホン・ディウスが描いた1677年のロンドンのテムズ川の様子
マウンダー極小期とは1645年から1715年頃にかけ気温が低下した小氷期で、ヨーロッパではテムズ川やオランダの運河、河川は冬になると完全に凍結する光景が頻繁に見られたと記録が残っています。また、海も氷河に覆われ英国、フランス、ベルギー、オランダなどの沿岸沖数kmまで広がり、交易や漁業に打撃を与えたと伝えられています。