アスベスト

今から10年ほど前にアスベスト問題が話題となりましたが、イタリアのある企業で労働者がアスベストによる健康被害により死亡したことについて当時のCEO、最高経営責任者に対し実刑判決が言い渡されたと報じられいてます。

Technobahnによると、イタリアのタイヤメーカー『Pirelli』で働いていた工場従業員20名が過去に死亡した理由は工場で使用していたアスベスト(石綿)に原因があるとして、遺族らが対策を怠った会社幹部11人を訴えたもので、イタリアのミラノの裁判所は元CEOに対し禁固7年11カ月の実刑、及び20人に対しそれぞれ最大50万ユーロ(6,700万円)を言い渡しました。

これは同社のミラノ工場で働いていた元従業員20名の死亡原因をめぐって争われたもので、検察側は1979~1989年にPirelliの経営に携わっていた元会社幹部11名を起訴し裁判が行われていたそうです。

アスベスト

石綿と呼ばれる繊維状のアスベストは、元は天然の繊維状けい酸塩鉱物です。一般的には断熱材としてアスベストが導入されていたものの日本では昭和50年に原則禁止されました。しかし、その後はスレート材、ブレーキライニングやブレーキパッド、防音材、断熱材、保温材で製造されていました。(何れも現在は製造が禁止されています)

アスベスト自体に毒性はないものの、繊維が極めて微細でこれが待機中に舞って人間が吸い込むことで肺線維症(じん肺)、悪性中皮腫、そして肺がんを引き起こすと考えられており、日本ではこの環境に晒され病気になった人については労働基準監督署の認定を受けた場合に限り労災保険で治療ができます。

またアスベストに対する健康被害はアスベストの粉塵が舞う環境下でおよそ10年以上働いた労働者にでるとされており、また症状がでるまでの潜伏期間は15~20年と極めて長いのが特徴です。(参考:厚生労働省)