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ロケットのその大半の質量とスペースを占めるのは燃料と酸化剤です。そこで、とあるベンチャー企業は外部からの照射でロケットを打ち上げるというまったく新しい方式を開発しようとしています。

BusinessNewslineによると、アメリカの宇宙ベンチャー企業『Escape Dynamics』は宇宙船にマイクロ波を照射して推進力を得るという新しい概念の打ち上げ方式が開発していると報じています。

外燃機関によるまったく新しい方式のロケット、ベンチャー企業が開発計画を公表 - BusinessNewsline

記事によるとロケットは本体に熱交換器が取り付けられており、地上に設置した複数台のパラボラアンテナからマイクロ波を交換器に照射。得られた熱から燃料を加熱し噴射、推進力を得るというものです。



一体どのような打ち上げ方法なのか。具体的にはロケットには5☓3メートルのセラミックマトリックス複合材料(CMC)という熱交換器が取り付けられています。ここに地上から92ギガヘルツのマイクロ波を照射し熱交換器を加熱。ロケットに搭載された液体水素を急速に加熱・膨張し噴射させることで推進力を得るというものです。

ただし、この方式でも液体水素を搭載しなければならないのですが、従来型のロケットとくらべ比率として72%ほど削減することができるとしており、その代わりに多くのモノを宇宙に送り込むことができるとのことです。

ロケット本体は完全な再利用型です。大型の衛星の打ち上げには向かないものの100~200kgの小型衛星であれば1kgあたり150ドル(約1万8000円)の打ち上げ費用で済むと主張しています。この打ち上げコストについて例として日本のH-IIAであれば1kgあたりの打ち上げ費用はおよそ100万円、イプシロンであれば300万円を超えています。

ちなみにロケットとマイクロ波の間に鳥や航空機等入ったどうなるのかという点にも回答しており、そのよう事態が考えられる場合は10秒間だけ照射を中断できるようなシステムが取り入れられているとしています。同社によると2020年を目処にロケットの打ち上げを考えているとのことです。

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Photo:Escape Dynamics

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Photo:Escape Dynamics

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Photo:Escape Dynamics