TR-X

大気圏内から敵地を偵察する高高度偵察機について、航空宇宙開発企業のロッキード・マーティンは現在の有人機U-2と無人機のRQ-4 グローバルホークからなる体制から「TR-X」のみで行う代替案を発表しているとのことです。

アメリカで開催されているAir Force Association Air and Space Conferenceでロッキード・マーティンは『TR-X』という無人偵察機の実機とする完成予想図を発表しました。

Lockheed: U-2後継の次世代戦術偵察機「TR-X」の完成予想図を公開 - BusinessNewsline

記事によると、ロッキード・マーティンの主張として現在米空軍は有人の高高度戦術偵察機『U-2』17機とRQ-4 グローバルホーク 21機を運用し、24時間の監視体制を構築するにはU-2 5機、RQ-4 3機をそれぞれ運用する必要があり、特に運用コストの面で問題があると指摘。
そこで、次世代戦略偵察機として開発されてきた『TR-X』について、戦術偵察機能を強化した『TR-X』のみで行うことで大幅なコスト削減を可能とする案を発表しているそうです。
(一般的に戦略偵察機は平時から敵対国等の監視・情報収拾を行う機体で、戦術偵察機は例えば紛争地帯など敵地に侵入し敵の行動を直接監視するといった機体とされています。)

ロッキード・マーティンによると、本機は2025年頃には実戦投入可能で偵察機としての任務以外にも米空軍が規格化している通信や電子戦、また攻守用の兵器を搭載できる能力も有しているとのこです。

U-2と無人偵察機



高高度戦術偵察機『U-2』は1955年に初飛行した機種で現在は改修された数十機が運用されています。RQ-4をはじめとした高高度無人偵察機や地上を監視できる軍事衛星の登場しているにもかかわらずなぜ新しいとも言えない機体が未だに使われているのか。
実は運用コストにあたってはRQ-4よりもU-2の方が安いとされ、偵察能力についてもU-2の方が優れているとされているためです。また軍事衛星とU-2の性能としても敵国が手を出せない領空に接する空域からの偵察では軍事衛生よりも高い情報収拾が行えるとされています。

ただ、 U-2はまもなく(早ければ2015年に)引退するとされており、2025年までの穴埋めなのかロッキード・マーティンはU-2を無人機にして運用するという案を過去に発表したことがあります。