中国の制服_1

世界の学校には指定の制服が導入されている場合がありますが、中国の制服は日本でいいうところの運動着にあたるジャージなのはご存知でしょうか。なぜ制服がジャージが導入されているのか。実はそこには中国共産党により失われた服装文化にあるとのことです。

過去に何度か中国の制服とジャージについては紹介しているのですが、今回はそもそもどのような理由から現在の姿になったのかについて、中国の『網易熱』というコラムサイトに掲載された内容を紹介していきます。

中国の学校制服はなぜこんなにダサいのか?―中国メディア:レコードチャイナ

掲載されたコラムによると、現在中国で一般的に導入されている制服は男女共用デザインのジャージがスタンダードだといます。ただ、このデザインがアレで、世界の数ある制服のなかでもで世界一のダサさで北朝鮮にすら負けていると評価されているとしています。

ではどのようにして世界一ダサイ制服がスタンダードになってしまったのか。元を辿れば1949年に政権を握った中国共産党に原因と言えるそうです。
中国共産党は当時、古い文化や伝統を否定しその余波は当然服装にまで及んだそうです。合わせて西洋の服も否定された結果、中国の服装史は完全に停滞期を迎えました。1978年からの改革開放政策により緩和が進んだものの30年あまりの停滞により服装文化が完全に根絶やしにされており冠婚葬祭も普段着で出席することが当たりまえというレベルの文化にまで成り下がっていたとのことです。

この間、中国における制服は1990年代前半まで 私服が一般的でした。ジャージになったのは1993年に中国国家教育委員会(現在の中国教育部)が小中学校に対して制服を制定するように奨励したことが理由です。
もちろん「ジャージにしなければならない」と政府が指示したことはないとのことなのですが、制服の導入にあたり各家庭の被服費を軽減するという目的もあったことから『質素で実用的、明快なデザインのもの』と付け加えた結果、行き着いた先が「ジャージ」のようです。ただ、当時は現在とは違い貧しい家庭が多く私服も満足に買えない家庭からは好評だったといいます。
しかし、根絶やしにされた服装文化により当時の人々が「ふさわしい制服」を考えた結果、『洗濯や汚れに強く、丈夫で動きやすい』という『機能面』でしかジャージしか思いつかなかったとも言われているそうです。


このジャージーも今から数年後には姿を消しているかもしれません。国が豊かになったことでジャージの制服は「毒校服」「醜校服」などと生徒らから評価されるようになり、中国でも度々取り上げられるようになりました。
これを受け中国教育部は1993年に設けた制度を改定する意見書なるものを今年発表しており、そこには制服の生産や仕入れなどを国際基準に合わせるとともに生徒らが制服を選んだり指定の制服を仕立てたりすることを認めるという内容が書かれていました。

このような新しい制服は早い学校では2000年前後から試験的に導入されつつあり、近年では生徒らが積極的にコンペを開き自らが考えたデサインを集め投票し制服を選ぶ学校も誕生しています。

▼2014年、試験的に行われたコンペで採用された制服(河南省鄭州市の高校)
中国の制服