IDA

国際宇宙ステーションに設置されている各種宇宙船や補給船を接続するドッキングポート。人員や物資のやりとりは必ずドッキンポートに接続する必要があるのですが、NASAは民間企業が開発した宇宙船が今後接続できるという新しい規格のドッキングポートを公開しています。

アメリカ航空宇宙局(NASA)が公開したのはインターナショナルドッキングアダプター(International Docking Adapters:IDA)というものです。これは国際宇宙ステーションにある3つのポートとは異なる新規格のもので今後打ち上げられるボーイングとスペースXの有人宇宙船が国際宇宙ステーションにドッキングする際に使用されます。

NASA: 次世代ドッキングポート「International Docking Adapters」を公開 - Technobahn

IDAはロシアのエネルギア社が基本構造部分を製造しアメリカ25の州で製造された部品をボーイングが組み立てていたものです。

現在国際宇宙ステーションにはソユーズ宇宙船用のポート『アンドロジナスドッキング機構』がいくつか、アメリカや日本、欧州が主に使用しているものでロボットアームにより補給船を掴みドッキングする必要がある共通結合機構『CBM』、そして現在は使用されていないスペースシャトル用の『NDS』という3つのドッキングポート規格が存在します。 (またスペースシャトルに積載されたモジュールをロボットアームで取り出し接続する多目的補給モジュール『MPLM』があります)

しかし、使用されていないスペースシャトル用のドッキングポート『NDS』は100トン以上の重量のある大型宇宙船用に作られており、主に使用されている10トン未満の宇宙船等では軽すぎて仕様上接続できないという問題がありました。つまり現在使用されているのは2つの規格ということになるのですが、調べた所この新規格のIDAはこのNDSの先端に(もしくは取り外され)取り付けられる物になるそうです。

ISS

位置は国際宇宙ステーションの先端部分にノード2(第2結合部)「ハーモニー」モジュールがあり、写真では最先端に飛び出しているものが与圧結合アダプター(PMA-2)でここにスペースシャトルが接続するNDSが搭載されています。右には日本の「きぼう船内実験室」、左にESAの欧州実験棟「コンバス」があります。(参考)

▼IDAにドッキングするボーイングの宇宙船スターライナー(CG)
IDA_2

なぜ新しいドッキングポートを開発する必要があったのかという点について、今後始まる民間宇宙船による人員の輸送で国際宇宙ステーションに接続するポートの数の問題だったり、将来を考え規格を統一したほうが利点が大きいためと考えられます。

また新規格のIDAは自動ドッキングシステムが採用されており、従来のようにロボットアームなど高度な操作を必要とすることがないため仕事量の軽減にも役立つことにもなります。