パソコンやスマホなどのキー入力を監視、記録するスパイウェアの1つ「キーロガー」。現在もパスワードなどを盗み取られるなど被害がでているのですが、1970年代旧ソ連がアメリカに対し世界初のキーロガーを使っていたことが明らかになったそうです。
かつての冷戦時代にも熾烈なスパイ活動が繰り広げられていましたが、そんな中で旧ソ連はタイプライターの入力を検知して情報を抜き取る「キーロガー」を使用していたことがわかっています。海外の複数メディアが報じたところによると、NSAでお馴染みアメリカ国家安全保障局が作成した資料によると世界初のハードウェア型キーロガー(現在はその大半がソフトウェア型)が1970年代、モスクワの在ソ連アメリカ大使館及びレニングラードの米領事館で使用されていたと書かれているそうです。
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記事によると、キローガーが仕組まれていたのは1976年から84年に使われていた16台のタイプライターでこれはIBMが1961年に発表しアメリカで広く普及した電動タイプライターであるIBM Selectric typewriter(アイビーエム セレクトリック タイプライター)でした。このタイプライターにはキローガーとして紙に文字を転写する球体状の装置に小型の電子回路が組み込まれていました。
▼IBM Selectric typewriter
具体的にはこの電子回路がキローガーになるのですが文字数にして8文字分にあたるメモリーが組み込まれておりメモリーがいっぱいになるとタイプライターに内蔵された送信機により外部に送信するということを行なっていました。またこの送信機も含む電子回路は外部からリモートで電源のON・OFFができるようになっていたとしており、送信されるデータについては一般向けのテレビ放送の帯域の電波が使用されていたとのことです。
アメリカ側はこれにいつ気づいたのか、どのような理由で分かったのか等は書かれていないのですが、外見上は他のタイプラーターと全く変わらず電子回路が組み込まれていた転写装置についてもX線を使って見分けられるほどのものだったとしています。
▼IBM Selectric typewriter
NSAの盗聴が話題となった2014年、ドイツは機密情報の漏洩を防止するため電動の電子タイプライターを導入するなどという計画を出していたのですが、1970年代の時点でこのようなものが存在していたことを考えるとパソコンからタイプライターに変えた所でまったくの無意味だということが分かります。