BIOS-3

外部からの食料調達が難しくなる宇宙。そのような環境で人間は自給自足の生活はできるのか、今回は1970年代に行われたというソビエトの閉鎖実験『BIOS-3』について写真を交え紹介していきます。

国際宇宙ステーション(ISS)では試験的に植物が生産されている程度でクルー全員の食料を生産するには至っていません。食料や水は補給船を打ち上げ定期的に供給されているのですがこれが月面や火星といった距離になるとコストの面の他にも時間がかかり、仮に火星の場合は地球から物資を送るにも地球に接近する数年に1度しかチャンスはなく到着までに200日ほどかかるということで現実的ではありあません。

そこで宇宙で人間が長期滞在できるよう自給自足できる環境を作る必要があるのですが、今回は閉鎖生態系生命維持技術というソビエトが1960年代から行っていた実験を紹介します。


ソビエトは来る月や火星への人類の進出に対し1960年代から『BIOS』という研究が進められていました。BISOは実際の宇宙飛行士が必要とする『食料(一部)』『空気』『水』のすべてを閉鎖空間内だけで解決するシステムの開発を目指し行われたものです。

初期の実験はBIOS-1(1964年)そして続くBIOS-2となっており、最後に行われたBIOS-3(1972年12月24日から1973年6月22日)では実際に人が入り180日間の実験が行われました。以下は当時撮影された貴重な資料となっています。

Замкнутые биосистемы советских ученых, работавших над созданием автономных космических баз » Jo-jo * Твоё место под солнцем

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BIOS-3の研究が行われたのはロシア連邦シベリア中部の都市クラスノヤルスクにある研究施設です。

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BIOS-3に参加する3名の被験者

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こちらがBIOS-3の施設を外側から見たものです。部屋4つあり1つは生活する空間、残りの3つは植物などを生産する部屋となっていたようです。大きさとしては140平方メートルで高さは2.5m。生産された植物は小麦、大豆、レタス、ニンジン、大根、大根、ジャガイモ、キュウリ、ス​​イバ、ケール、フェンネル、タマネギとのこと。

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製粉中

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小麦からパンを作る

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実験を終えた被験者。口元を隠している理由は不明です。

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BIOS-3の研究者

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ソビエト連邦のロケット開発として知られるセルゲイ・コロリョフ。実験開始日に撮影されたものとされる。

まずBIOS-3の写真を見ても分かるようにこの閉鎖施設内では植物しか生産することができず必要なタンパク質等は外部から予め持ち込まれました。その上で結果はどうだったのかという点について、酸素と水は100%(95%ともされる)、食料は約80%の自給率だったとされています。
またJAXAの資料によると酸素については過剰になりすぎたことがあり、その時は植物を燃やし二酸化炭素を出していたとのことです。(参考.PDF)

研究自体はかなり進んでいたのですがこの研究が続くことはありませんでした。当時ソビエトは財政難に落ちいていたらしく資金調達ができなかったことが原因です。その後1992年に国際的協力でBIOSのような研究を行う話があったもののそのお金すらも支払う余裕は無かったといわれています。