11月30日からフランス、パリで行われる気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)。これは2020年以降の新しい温暖化対策の枠組みが話し合われる会議なのですがイギリス政府は先日、2026年までに国内にある石炭火力発電所を全て閉鎖すると発表しているそうです。(写真はドイツの火力発電所)
英国政府は、国内のすべての石炭発電所を10年以内に閉鎖すると発表した。英国で発電される電気の約28%は石炭を燃料としているが、その二酸化炭素排出量は正当化できないほど多い、と政府が判断したためだ。英国エネルギー気候変動省のアンバー・ラッド長官は11月18日(現地時間)、排出量が多い石炭発電所は英国の「未来とはいえない」と述べた。まずイギリスにおける電源構成、つまりどのような割合で電力が生産されているのかについて知る必要があるのですが、英国のエネルギー気候変動省が公表したデータによるとこのようになっています。
WIRED.jp
UK Energy Statistics, Q2 2015(PDF)
左は2014年第2四半期、右が2015年第2四半期のもので赤が石炭火力、緑が天然ガス(火力)、青が原子力、水色が再生可能エネルギー、オレンジが石油(火力)とその他となっています。イギリス政府によるとこの赤の部分について二酸化炭素排出量の問題から2026年までに取り除くとしています。
では何でまかなうのかという点について、記事によると同じ火力でも二酸化炭素の排出量が少ないLNG、液化天然ガス(緑)による発電の割合を増やすことを軸に進めていくとしています。現在イギリスでは8施設の100%石炭火力発電所と、5箇所のデュアル発電所(石炭と天然ガス、もしくは石油)があるとしており、2023年頃から閉鎖していくとのことです。
イギリスでは2014年~15年の1年間だけで石炭火力がおよそ8%ほど割合が低くなっており、この分は再生可能エネルギーがまかなうという形になっており、現在は生産される電力の1/4が再生可能エネルギーです。日本と同じ島国でありながらかなり多いことに驚くのですが、EUの中ではこれでも再生可能エネルギーが占める割合が最も低い国となっているそうです。(記事によるとイギリスにおける再生可能エネルギーの内訳は62%がバイオマス発電、29%が風力発電となっているいます)
日本でも東日本大震災以降電力や再生可能エネルギーが注目されていますが二酸化炭素を出しているのは何も発電という分野だけではありません。もちろん温室効果ガス自体も二酸化炭素だけではないのでそのような分野にも目をやりつつCOP21では地球環境を良くする案をだしていただきたいものです。
ちなみに、石炭・石油・LNG発電所それぞれから排出される二酸化炭素量はどのくらいの差があるのかという点について関西電力によると石炭を100とした場合石油は80、LNGが60となっています。(参考)