
1961年から72年にかけ6回の有人月面着陸に成功させたアポロ計画。実は同じくアポロ計画で行われたある科学実験で作られた月のクレーターが43年目にしてようやく見つかったと報じられています。
米航空宇宙局(NASA)は2015年12月3日、月を周回中の探査機「ルナー・リコネサンス・オービター(LRO)」を使い、1972年に「アポロ16」を打ち上げた巨大ロケット「サターンV」の第3段機体「S-IVB」が月面に衝突した痕跡を発見したと発表した。アポロ16号が行ったもう一つの実験とはサターンVロケットの3段目、S-IVBという質量20トンあまりを月面に衝突させ月の内部構造を調べようという実験です。この実験は1969年にアポロ11号が設置した月面の地震計を使ったものであり、1970年のアポロ13号から1972年の17号まで5回行われました。今回NASAが見つけたのは衝突させた5基のうち、発見できずにいたアポロ16が残した衝突痕です。
sorae.jp
記事によると発見が遅れた理由についてS-IVBが衝突する途中で地球との通信が切れてしまったことで衝突地点がどこなのか精確な位置がつかめていなかったそうです。NASAはこれまである程度予想はしていたものの実際の位置は予想よりも30kmほどズレていたそうです。
NASAによると衝突地点には縦横40m×30mのクレーターが作られていると発表しています。
S-IVB
旧ダグラス・エアクラフトが製造したものでサターンV 型ロケットの第三段目になります。サイズは全高17.8m、直径16.6mで内部には73,280リットル(87,200kg)の液体酸素と252,750リットル(18,000kg)の液体水素とこれを燃焼させるJ-2ロケットエンジン1基が搭載されていました。
