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軍事用の『輸送ロボット』として米軍と研究開発を行っていたボストン・ダイナミクス(グーグル)の4足ロボットシリーズについて、米軍から不採用が通達されていたことが明らかになりました。

Boston Dynamics の BigDog といえば、中腰の人間がふたり入っているような不気味さと、蹴られても滑っても立ち直る驚異の自律制御が話題になったロボット。

国防高等研究計画局DARPAの指揮のもと、車輪では踏破が難しい地形での運搬用、歩兵とともに移動して負荷を下げる荷役ロボ LS3 (Legged Squad Support System) として、軍での採用に向けた試験が続けられてきました。

Engadget Japanese
事実上開発が中止になるのはボストン・ダイナミクスというアメリカの民間企業が開発した4足歩行ロボットです。このロボットは優れた姿勢制御技術を用いて兵士のパフォーマンスを低下させる重い装備を肩代わりするため導入が検討されたロボットなのですが、いくつか問題が見つかり正式に不採用が決定したと報じられています。



まず初期のBigDogについては154kgの荷物を積載したまま時速5.3kmで走行でき最大35度の斜面を登ることができたものの、その油圧を稼働させる15馬力2ストローク単気筒ガソリンエンジンの騒音が激しく、敵に位置がバレてしまうという単純な理由で不採用となりました。

その後、開発されたモデルとして大型で電動駆動のLS3 (Legged Squad Support System)については、海兵隊との運用試験が行われたもののフィールドで故障した場合修理が困難な点と『伝統的な海兵隊のパトロール任務』に付き合い移動することが難しいと判断され不採用となりました。



2015年に四足歩行ロボ「Spot」が公開されたもののLS3のような優れた空間認識能力がない上に兵士による遠隔操作しなければならず、搭載できる重量がわずか20kg程度と意味不明な仕様になってしまったため事実上の開発中止が言い渡されました。 



ボストン・ダイナミクスのロボットの多くは米国防総省の国防高等研究計画局DARPAや米軍や資金提供を受け開発されています。

4足歩行ロボット以外でも2足歩行ロボット『ATLAS』を開発しているのですが、2013年12月に行われたDARPA Robotics Challengeという史上初の2足歩行ロボットによるコンテストでは参加チームに対しATLASが提供されたものの、東京大学発のベンチャー企業(後にグーグルに買収された)「SCHAFT」チームのロボットに惨敗するという結果になっていました(参考)。


記事によると、『LS3 / Spot ともに今回のプログラムは終了し、米軍の主導の計画としては今後も改良予定はありません』としており、軍事用の4足ロボットシリーズについては事実上の凍結ということになるのですが、他のロボットに対しても今後は商業利用を目的としたロボットの開発が進められることになるのかもしれません。