アメリカの基軸ロケット「アトラスV」に換わる新型ロケット「ヴァルカン」が開発されているのですが、このロケットに搭載可能なメインエンジンAR1について製造元は2017年に燃焼試験、2019年に完成を目指すと今後の予定を発表しています。
米国のエアロジェット・ロケットダイン社は2015年12月17日、開発中の大型ロケット・エンジン「AR1」の主要設計を完了し、部品単位での試験も進んでいることを発表した。スペースシャトルやNASAが開発している次世代大型ロケットのメインエンジン(SSME)やサターンVロケットの2段目、3段目に採用されたJ-2エンジン等を開発していたエアロジェット・ロケットダインが開発を進めているのはAR1というロケットエンジンです。
AR1は、米国の基幹ロケット「アトラスV」に使われてるロシア製の「RD-180」エンジンの代替を目指して開発されているエンジンのひとつ。
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このエンジンが将来搭載される可能性があるのは『ヴァルカン』という次期基軸ロケットロケットです。これはウクライナ問題によりロシア製エンジンの調達に今後問題がでることが予想されるためアトラスVを引退させヴァルカンの開発が進められているものになります。
具体的なAR1の性能は明らかになっていないのですが、現在155回の部分的な二段燃焼サイクルの試験も順調に終えたとしており、2017年にはAR1の試作品を開発し本格的な燃焼試験を行いヴァルカンの初打ち上げにが行われる2019年までに実用化を目指すとしています。
▼AR1 RD-180と形状は似ており2つのノズルがついているものの全体が1つのエンジンになっています。
ただ、ヴァルカンに搭載されるメインエンジンはAmazon.comの創設者であるジェフ・ベゾス氏により2000年に設立したベンチャー企業ブルーオリジンが開発している「BE-4」(参考)の採用がほぼ決定していると言われており、AR1については何らかの問題でBE-4が失敗した場合の選択肢として収まっている程度とされています。
その上で何故AR1が開発され続けているのかという点については、置き換えられるアトラスVに僅かな仕様変更を加えるだけで搭載可能なエンジンとしても設計されておりヴァルカンロケットが失敗した場合、そして今後何らかの問題で計画全体が遅れた場合についてもアトラスVが必要となってくることからそちらの枠も狙っているものと考えられます。
▼RD-180